私は、明日香の歌が、かつて好きだった。
それは中学校の時、小川哲哉氏が、
まだTBSのアウアウンサーだった頃の、音楽ラジオ番組で、
「花ぬすびと」がフルコーラスで流れた時があった。
当時として、5分を越える曲が、それほどなかった時代に、
平日とは言えども、夜の8時過ぎに、
ピアノと弦とボーカルだけという、
至ってシンプルなarrangeの曲が流れた時は、
何とも言えない衝撃があったのを、いまでも憶えている。
多分、その後しばらくして、LPで「おてんばさん」というのを、
買った記憶があるのだが、その「花ぬすびと」は、
実は、別バージョンになっていて、
中学生の少ない、当時の小遣いで買った私は、
「え?」と思ったのだが、それはそれで、思い出として・・・。
実は、このCD・・・企画の段階で、関係者の方から、
「こういうの出るよ」って聞いたとき、
「え?明日香なの?・・・ほんとにあの明日香?」と、
念を押して聞いた。そして、楽しみにしていた。
実際、フタをあけてみると、明日香だけではなく、
「ヤマハ」のシリーズもののベストの中の1枚だったのだが、
それでも、明日香には変わりはない。
当時、中学生の時に、はじめて「アイドルではない女性ボーカル」の、
LPに針を落とす時と、同じくらいに、
ドキドキしながら、CDのボタンを押した。
歌が流れた瞬間に「あ・・明日香だ!」と感動した。
決して明るくはない・・・だけど、芯の通ったボーカル、
そして暖かくはあるけど、どこか心なし寂しげな歌詞、
それから、美しいメロディー・・・間違いなく明日香だった。
このCDでは、1曲目に「中国街夢幻」を持ってきたのは、
個人的には、ちょっと意外だったが、
「男坂女坂」も「卒業白書」も、全部明日香だった。
手放しにうれしかった。なんていうか、久しぶりの友人に会えたみたいな。
ピアノとボーカルと、そして曲によっては、
当時の楽器群を使った懐かしい音たちも、色を立派に添えている。
明日香の曲は、ピアノという楽器が、
大きくフューチャーされている場合が多い。
それは、ピアノという楽器が、明日香の声やメロディーに、
とてもあってるからというのは、当然だと思うのだが、
それは、明日香の音のまなざしと輪郭を、一番表現できるからと思う。
その表現は、現在も活動を続けている明日香に、立派に通じていると思う。
私は、明日香の歌が、いまでも好きである。