1986年、チエルノブイリで起こった史上最悪とされる原子力発電所の事故。放射能の恐怖は、世界中に広がりました。当時ドイツに住む日本人の少年トオルの経験が描かれています。事故後、大好きなサッカーも屋外での活動もすべてできなくなったトオルの生活、新しい命を宿した母親の不安、原発で働く父のもとに引越していく友人との別れ、そして、幼い兄弟の誕生。少年の目を通して原発事故の恐ろしさが伝えられます。
そして今年2011年3月11日、地震・津波に続き起こった東京電力福島第一原子力発電所の事故は、震災から6カ月たった今も解決されず、多くの人が不自由な避難生活を余儀なくされています。家族がばらばらになり、避難生活をしている人々、仕事を奪われた漁業、農業、畜産業に携わる人々、外で遊ぶことができない福島の小学生、風評被害で苦しむ人々、25年前のトオルと同じ経験をしている子供たちがこの日本にたくさんいるのです。
この作品は、原発事故を契機に復刊されました。チエルノブイリの事故以来、人類はなぜ同じような事故が起こらないように考えてこなかったのでしょうか。便利な生活を送るために、電力を消費続け、地震列島に54基もの原発が乱立する状況を許してきてしまったのです。
ドイツは「2022年、脱原発を可能にする」と宣言し動き始めました。放射能汚染の日本を生きなければならなくなった私たちは、「安全な未来」を目指して、原発に頼るエネルギー対策の見直しをしていかなけれがならないことを強く決意させられる本です。