壮快な書! 多忙な岡野さんから、よくこれほど丁寧に取材し、岡野さんの考えや語り口を大事にしながら本にしたなと感心する。出版社も誉めるべきだと思う。内容は痛快無比。最近の高校生が「修学旅行は、ディズニーランドより岡野さんのところへ行ったほうが面白い」と訪ねてくる話が出てくる。当たり前である。受身の快楽より、個人の技術力で自発的で創造的な生きている人から直に薫陶を受けるほうが、何百倍も面白かろう。随所に岡野さんの写真も載っているが、実に「いい顔」で、こっすっ辛い顔とは対極だ。鍛えぬかれた人間通だと思う。かって、日本文化は、このような人間通を生んでいたのだろう。真贋を見抜く力、例えば、帝国ホテルで歳暮にもらったタオルの凄さに感激する感性。自分を絶対に真方へ置きたいと思うDNAこそ宝である。日本から消えかかっているが、復活させるべきDNAだと、心からそう思わせずにはいられない、そういう本である。