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一つは「あー、あさっていいもんだなぁ」ということ。
本書に収められている『朝の光』という詩に
「繰り返すものはどうしていつまでも新しいのだろう」という
フレーズがありますが、朝の新鮮さを毎日感じられるような
人生を生きたい、とこの本を読んで素直に思いました。
それと、作者の「朝」に対する思い入れ、というか、
いとおしみがひしひしと伝わってきます。言葉の使い方の
美しいこと、読めば読むほど心に沁みいってくるようです。
私はこの受賞報道を出張先のシチリアの地でインターネットを通じて知りました。私が参加していた国際会議場のテント小屋に備え付けられたPCで、そのCM動画を見ることもできました。
丸い地球のどこかで常に生まれ続ける朝。それは世界各地の子供たちの頭上に等しく訪れ、果てしなく西へと向かってリレーされていく。そんな様子を詠ったこの詩を午前の早い時間に地中海の乾いた空のもとで読んだ私は、遠い日本からはるばるリレーされてきた朝の中に自分がいることを思い、世界的スケールの中に身を置く不思議さを感じたのです。
そしてまた、英語による連日の会議で疲れ切った私の耳に、自分が生まれ育った国の言葉はこの上なく心地よく響きました。PC画面で幾度もこのCMを再生し、日本語の美しさを繰り返し味わいました。
本書はこの「朝のリレー」をはじめ、朝を主題に詠んだ詩が、世界各地で切り取った朝の写真とともに編まれています。太陽が水平線や山際にうっすらと光の絵筆を振るう姿を収めた写真は、<命の黎明>を想起させ、生きてあることの荘厳な美しさを感じさせずにはおきません。
世界の子供たちが、朝とともに始まる新たな一日に希望と喜びを少しでも感じられることが出来る世の中であってほしいものです。残念ながら、朝の訪れは厳しい一日の再開を意味するだけだと感じる子供たちがまだ数多くいるのですから。
そうした現実に、言葉が立ち向かうことの大切さと厳しさとにも思いを馳せる一冊です。
谷川俊太郎さんはとても、とても朝の「煌き」が好きなようです。静かな夜が明けて、人々も、草木も活動し始める、
その生き生きとした「動」が、陽射しの訪れとともに突如命を吹き込まれた人形のように、素敵に、清冽に
表現されています。
所々に現われる簡単な言葉と、難しい言葉の組み合わせが、絶妙で、心を打ちます。
宮沢賢治の詩のように難しい、ということもありません。どれもこれも、明るい、ワクワクした、もしくは
心の底から湧きあがってくるような朝の喜びがそのままに表現されています。CM大賞を受賞した「朝のリレー」は
非常に有名で私も本当に大好きですが、それ以外の詩も、思わずドキドキしてしまうような、そんな言葉にあふれています。
そして、この朝の煌きと、赤毛のアンの舞台プリンスエドワード島やアンの生まれたノヴァスコシア、そして、
森と湖の広がるケベック、カナダの自然の色濃いコントラストが驚くほど共鳴しています。
葉祥明さんの写真集のような風景がもっと強い自己主張を持って広がっています。
吉村さんの写真は、故星野道夫さんの風景写真に似たコントラストをもっていてとてもきれいです。
実際、星野さんのMichio's northern dreamsの5冊と似た装丁になっています。
この詩と写真の清冽な芸術を味わうことで赤毛のアンが朝と黄昏時と、どちらが最も素晴らしいか迷ったように、
一日を楽しく過ごさせてもらっています。
左から開くと「おはようきょう」という言葉が印象深い詩が見開きに一行ずつ書かれた写真集、右から開くと
「朝」をテーマにした12の詩集です。朝の美しさと躍動感を味わえる、この詩集は宝物になりますよ。
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