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下巻では著述の順番を変え、一連の事件の帰結である「あさま山荘事件」を立てこもり側から描いていき、そののちリンチ殺人へさかのぼって著述するというスタイルをとっている。
「あさま山荘事件」としては警察側の視点で描かれ、映画にもなった佐々淳行の著書があるが、本巻はこの事件を犯人側の視点で克明に記す(佐々の作品とあわせて読むとより興味深い)。備蓄されていた食料から何を作って何を食べたのか、どこに篭り、仲間内または人質と何を話したのか・・その描写の詳細ぶりはすごい。最終局面では、突入した機動隊と1部屋1部屋を巡っての攻防が描かれる。
山中の基地という閉ざされた世界で起こったリンチ事件にこそ彼らの抱えた闇を感じる。まさに当事者にしか描けない部分だ。ただし本巻では事情があり、全貌は描かれず、ぶつっと途中で途切れる・・・。
著者の記述に当たってのスタンスは首尾一貫、一連の事件を反省するスタンスで描かれているが、一方で思想的な部分の記述は彼ら自身の理論から抜け出せていないようにも思える。
私があさま山荘事件と言うものを理解したのは数年前で、それまでは恥ずかしながら自分の生まれる前に起きた乱射事件程度の認識しかありませんでした。
それでも今尚語られる事件の本当の所が知りたくて色々調べていく内、一番気になったのがこの本の著者である坂口氏。
私の受けた彼の印象は、「優しくて気が弱い真面目な人」そんな人であるが故に、自分の置かれた立場と状況の中、あの惨殺事件を起こしてしまったんだろうと思いました。
この本ではそんな彼の心情がより分り易く書かれています。
殺人を肯定する訳では決してありませんが、それほどまでに彼らは必死で人生を生きていたのだろうと思わずにはいられません。
こんな殺伐として、どこか冷めている時代だからこそ是非とも、あの時の彼らと同い年の人達には読んでもらいたい一品です。
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