普通の学生が学生運動に身を投じ、大学中退を経て労働運動、やがて非合法活動に手を染め地下に潜伏する・・・。あさま山荘事件後、逮捕され、連合赤軍の一連の事件の主導的立場にあったとされ裁かれた獄中の著者による克明な記録だ。
その詳細さは驚嘆するばかり。誰がどういう行動をとったか、どういう議論をしたのかなど、詳細に記述されていく。
著述にあたってのスタンスも率直なのが好ましい。これだけの文章を書ける聡明な人物が、暴力的な事件を起こしたというのが繋がらない印象を受けた。
一方で、運動に携わった当初の部分は、客観的な記述が目立つが、本人が運動の中心になってくるにつれ、だんだんとその客観性が失われていくようにも感じた。彼らの中でどのような思想があり、どのような議論があって、行動をとったか、ということは詳述されるが、一方で、そもそも、彼らをそこまで駆り立てた動機が何だったのか、といったことは見えにくい。少なくない仲間が様々な事情で運動を脱落していく一方で、ひたすら尖鋭的になっていく著者たちの行動の拠り所は何だったのか?そういった俯瞰的な視点での、分析の欠如を感じた。
仲間内で高邁な討論を繰り返し、自らの行動を正当化していく一方で、指名手配されている自分たちがテレビのワイドショーにとりあげられているのを見て、潜伏後の著者たちが、初めてショックを受けるという場面が特に印象的だった。