主人公の瓢六は現在は江戸で賭博が理由で入牢の身ながら、昔は長崎の地役人。唐絵目利き、阿蘭陀通詞を勤め、蘭医学、天文学、本草学の心得もあるという博覧強記な色男であり伊達男。情婦のお袖はお金稼ぎが大好きで甲斐性抜群、面倒見抜群のちゃきちゃき売れっ子江戸っ子芸者。定廻り同心弥左衛門は、瓢六に捕物を手伝わせながらも、恋の指南役として指導を仰ぐ純情な堅物男。彼ら3人を飄々と浮世離れした風貌ながら掌で操る北町奉行与力の菅谷一之助。
与力の一存で瓢六が牢屋に出たり入ったり、実際には「ありえないだろう!」という状況設定も、登場人物のキャラクターの魅力と巧みなストーリー展開で、笑って楽しめてしまう小説です。そしてこの「ありえない」設定が、他の時代小説にはない個性であり魅力ではないかと思います。