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病院が連携し安心与える
──地元密着の病院経営について書いた前作の『がんばらない』は20万部を超えるベストセラーになりました。今回のメッセージは何ですか。
『あきらめない』の冒頭に出てくる男性は、膵臓の悪性腫瘍で余命半年と宣告されました。しかし、仕事中心の生き方を改め、家族との時間を大切にしながら闘病に全力投球したら、発病から8年を超えた今でも元気に飛び回っています。病は気からと昔からよく言いますが、現代の医学でも患者さんが「あきらめない」という気持ちを持つか持たないかで、治療の結果は大きく異なってきます。そうした患者さんに医師としてどう接し、どうアドバイスするか。医療における患者さんとのコミュニケーションの大切さを描きたいと思ったのです。
実は、あきらめない生き方を選んだ人たちは多くのことをあきらめています。例えば会社で出世すること、海外旅行をすること。でも、これだけは絶対にあきらめないという強い気持ち、例えば「子供の卒業式だけは出てやりたい」といった意志が、驚異的な生命力につながるのです。全力で専門医療を施すことは大切ですが、患者さんとのコミュニケーションを密接に取ることも大切です。それが日本では意外に忘れられています。
──その原因はどこにあるのでしょうか。
実は、日本の医療は世界でもトップクラスのコストパフォーマンスの高い医療システムだと、WHO(世界保健機関)の折り紙つきです。でも、日本の人たちは不信や不満だらけですよね。なぜか。病院と病院の連携ができていないからです。それぞれの病院は高度な専門技術を持っています。例えば胃ガンになった時に行く病院が見つからない人はいません。でも、ガンの手術から2週間入院すると退院しろと言われ、患者さんは病院に追い出された印象を受けてしまう。
病院経営を考え、患者さん全体のことを考えれば、在院日数を平均15日程度に縮めるのは大切です。その病院は専門病院として、次の専門医療を受けなければならない患者さんを診察、治療しなければならないからです。治療のメドがついたら、リハビリを専門にする病院に移すとか、在宅医療に切り替えた方が患者さんにとってもメリットがある。しかし、病院のネットワークができていないから、患者さんはほっぽり出されたと思ってしまう。
諏訪中央病院は人口5万5000人の小さな長野県茅野市の病院だけど、そういうシステムを作りました。しかし、決してコストは高くない。平均在院日数は15.8日に抑えているし、無駄な薬や注射をなくした結果、地域全体の医療費を低く抑えることができた。これを日本全体でやれば2兆円は医療費が削減できます。この額は、サラリーマンの負担の拡大などをしなくて済むほどの額ですよ。
──こうしたシステム以外に日本の医療現場で足りないことは何でしょう。
1つは総合医の養成でしょう。日本では専門医は国際的に高いレベルですが、1人の患者を全体的に診られる総合医が少ない。もう1つは医療に携わる人にもう少し余裕を与えることでしょう。100ベッド当たりの医師や看護師の数は、日本は米国の約5分の1です。これでは患者さんの満足度は得られません。確かに医療費を抑えることは大切なのですが、必要なところまで削りすぎるのはよくありません。
( 大屋奈緒子)
(日経ビジネス 2003/02/10 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
登録情報
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人はいつか少年に戻るために今を生きているかも知れないという結びの言葉に共感を覚えました。この本はエッセイですが理想的な医療を目指すための指標にもなり得ます。より多くの医療関係者に読んでほしい一冊です。
私は仕事柄、医療コンサルも年間数回行う。よくDr.が忘れがちなのが「患者さんとのコミュニケーションの重要性!」患者が診察室に入って来ても挨拶も無しに「で、どうされました?」と目も合わさずに先生はボールペンを持ちながらカルテに何かを書いている・・・。
これでは日本の医療が向上するはずがありません。鎌田先生がおっしゃる様に今まで技術の向上にのみ努力を続けてきた結果だと思います。
これからは著書の本文に出てこられる「正治さん」のよう感性(ホスピタリティー)を磨かなければ「患者に選ばれる病院」にはならないと思います。
ぜひ、多くのDr.や製薬メーカーのMR達に読んで勉強をして頂きたい一冊です。
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