雑誌で読んだ時からやたら気になっていた糸杉柾宏の「あきそら」。
心待ちにしていた1巻は、思った以上に、読み進めていくほどにドキドキするほどに、面白かった。
しかしこれは人を選ぶ作品でもあると同時に思った。それもバッサリと。
なぜならば一般誌で載せるラブコメのタブーを思いっきり破っているからだ。
そして、全体的な雰囲気がどこか背徳的でどことなく読み手に緊張感を課すような漫画だ。
こんなラブコメは中々ないぞ。
この「あきそら」の登場人物たちは、皆それぞれに複雑な思いや事情を抱えている。
姉と弟でありながら真剣に恋しあうアキとソラ。
アキの妹であり、ソラとは双子のナミもまた、想い人が同姓という矛盾。
そしてモラルを破ることに快感を覚えるルナ。
正直言って、まともな感覚の登場人物はほぼいない。みんなそれぞれに「間違った道」に進んでいる。
その様子を時にコミカルに、時にシリアスに淡々と描かれていく。実に読みやすいネーム力を携えて。実際、スラスラと短い時間で読み終えた。
が、浅く残る感じではなく、むしろ深い印象を心に抱いた。
なぜかというと、とにかく雰囲気つくりが上手いこと。これに尽きる。
雰囲気だけの漫画ではないが、一番印象に残るのは「やってはいけないこと」をやっているというような神妙な雰囲気である。
性的な表現ばかりが話題を先行しているけど、実はキャラの心理についても丁寧に描いている。
特にソラがアキに対する絶対的な信頼を見せる第3話「かくれんぼ」は絶品。
アンモラルな衝動に生きるルナの行動もいちいちハラハラさせてくれるが。特に人通りの多い交差点の真ん中で裸になろうとするシーンとか。
必然的に触れなければいけないが、この漫画、完全に一線を越えている。
「行為」について、堂々と包み隠さず描いている。
ただ絵柄が非常にスッキリした、シャープな絵柄の為そこまで露骨ないやらしさは感じない。
仮にも「チャンピオン」の名のつく雑誌でここまでやる必要性の是非については思うこともあるが、
最近の一部の少女漫画の現状を考えると、少年誌が少女誌についに追いついたという考え方も出来ると思う。
少なくとも私はこういう突き抜けた表現は好き。
しかし、色気の部分を除いてもこの漫画は非常に面白いし、続きが気になって仕方がない。
今までの糸杉柾宏の漫画の中では間違いなく一番。
一過性だけの単なる過激漫画と思われるかもしれない。まあ、それもしょうがないけど
結局のところ、作中のキャラたちの感情と同じように実はマジな作品ということだけは真に伝えたい。
ちなみに、この後の展開も色々と凄かった。単行本派の人は期待していて欲しいです。