上巻を買って、その価値をわかる人なら、これを買わない人はいないはずです。いよいよです。「あ号作戦と南雲中将」「決戦レイテ湾」。私は、レイテ決戦のNHK記録フィルムしか見ていませんが、びっくりするほど史実の通りです。少年向けの貸本に描かれたとは思えません。それだけ入れ込んでいたことがわかります。読者を楽しませようとするより、自分であの戦争に決着をつけようとしているようです。
現場責任者の高級将校達がみな、若者の死に思いを至らせているところが、圧倒的に他の戦記物とは違います。こんな厭世的なトーンでは、やはりそれほどウケなかっただろうなあ、と水木先生の無骨ぶりに唸ります。でも、まだこの頃は、左腕の付け根もうずいていたはず。
ファンとしては、1コマ1コマを読みながら、力が入ってしまいます。
後の「河童の三平」などに登場する昭和天皇や東条英機が「キミタチ、戦争はいかんよ」とつぶやくコマに、万感の思いがこめられているような気がします。