野村克也氏による『巨人軍論』に続く球団徹底分析の書。プロ野球の現役監督が書いている点が、そもそも非常に興味深い。
同じ在阪球団ながらパリーグゆえに人気がいまいちの南海ホークスに在籍していた現役時代から、ヤクルト監督での成功を経て阪神の監督に就任したものの「野村の考え」がほとんど浸透せず3年連続最下位に終わった阪神監督時代の生の体験を通じ、(多少恨み節も交えつつ)何ゆえ阪神がかくも長く低迷し続けたのか、冷静に分析している。
特に、「長期的視野を持たないオーナー、フロント」と「ちやほやすることで選手に己の実力を勘違いさせたマスコミとタニマチ」が元凶であると彼は指摘している。野村監督に厳しくされふてくされてしう今岡などは、今話題の「シュガー社員」に通じるものがあるなど、単に阪神という球団に限った話ではなく、企業経営においてダメ組織、甘ったれ組織をいかに活性化させるか?という点で非常に参考になると思われる。
本書において最も鋭い指摘は、「阪神という球団は人間教育をしてこなかった」、という点にあると思う。その証拠として、「阪神は他球団に求められるような指導者(監督・コーチら)を輩出していない」という記述に、大いに納得させられた。”経営の神様”松下幸之助は、「松下電器は人を作る会社です。あわせて家電を作っています」という名言を遺しているが、今までの阪神はまさにその逆を行く球団であった。
フロントの意識も徐々に変わり、野村→星野→岡田と経て、「果たして阪神は”ダメ虎”を脱しきることができるか?」、そういった視点で今年のペナンとレースを見ると、非常に面白いかもしれない。