この本は、どの立場からも読まれるべき本である。集英社少年ジャンプに連載されていた
が、右翼の圧力に屈した情けない出版社(社長が殺された後の右傾化した中央公論も同様
、情けない)として集英社はその名を歴史に残した。この本は、単なる原爆の話ではない。
より広く戦中戦後の人々の生活を捉えたものだ。この本でなければまず知ることのできな
い言葉がいくつも出てくる。戦災孤児、浮浪児、傷痍軍人、ABCCなど。特にABCCは酷い機関
なのだが、最早これに関する本は皆無である。もう一点は、人間という存在の中にある美点
と醜い点を浮き彫りにしていることである。特に、差別に関する記述は特別によくできた
筋立てでかかれており、その本質を知ることができる。小学生後半に読み始めるといいと
思う。そしてこの本はその後も読み返すことになる。気持ち悪い、残酷というが、原爆が落
ちたとき、幼少の子供達はそれを目の当たりにしたのであり、それを本書で追体験すること
にも意味がある。登場人物の年齢層も広がっており、よって読み返し荷も耐えうるのである。
末永く読み継がれるべき不朽の名作であり、日本で起きたことが何であったのかを知るために
欠かせない本である。体験・経験は事実を教えてくれるが、真実は、追体験と想像力によって
しか見つけることはできない。30万に上る犠牲者の前に、この言葉を背負う義務があると
思う。