伝説のダイバー、ジャック・マイヨールをモデルにしたリュック・ベッソンの傑作であり、内容的に今更レビューすることなどないだろう。ここでは映像と音声についてのみ記載する。
1988年、つまり22年前の映画である。良くぞここまで完璧に映像のHD化処理ができたものだ。DVDの映像も汚くはなかったが、そのアプコン映像と比べても圧倒的に繊細かつ鮮明である。
コーデックはMPEG4 AVC。ノイズフリーであり、粒子感もほとんど無い。被写体の質感も丁寧に表現されている。HD化で失敗の原因にもなりやすいコントラストのつけ方も本作は絶妙だ。映画を観ているうちに、海に吸い込まれそうになる。
古い映画の場合、フィルム・グレインという微妙な言葉によって、HD化の際の粒子感が語られがちで、そういうものなのかとポジティブに考えていらっしゃる方も少なくないと思われる。しかし、本作を観ていただきたい。そこにあるのはフィルムの質感ではなく、確かなる被写体の質感であり、背景の海や空や雪の質感である。これこそが我々がHD化された映画に求めている画質なのだ。20年以上経過した古い映画であることを考えると、殊、映像面に関しては快挙といえるのではなかろうか。PQ 4.5/5。
音声は英語、仏語ともに2chなのだが、非圧縮のリニアPCMのため、ノイズ少なくそれなりに抑揚のある音の表現が実現出来ており、個人的には今までのDVDに記録されているDolby Digital 5.1chやDTS 5.1chよりも明らかに滑らかで聴きやすく、とても好ましく感じた。2chだからと購入を躊躇っていらっしゃる方は、それ程心配しなくてもよいだろう。今までのDVDとは比較にならない。SQ 4/5。
因みに既発の仏版・米版はDTS HDMA5.1が収録されているが、残念ながら吹替音声のフランス語のみであり、実際に話している英語は仏版がDolby Digital 5.1ch、米版がLPCM 2chであり、日本版と大差ない。
主役の俳優が二人とも仏人なのでフランス語の映画のような扱いを受けることが多いが、実は導入の少年時代の映像以外は、英語で撮影されている。本作裏面にも「フランス語(吹替)」と表記してある通りだが、唇の動きを見ていただければ話しているのが英語だと分かるだろう。この点のみが、この映画の残念なポイントである。
本作が好きな方にとって買直しをする価値は十分にあるBDである。もちろん初めて観る方も圧倒的な高画質のBD版をお勧めする。