著者はハーバード大学交渉学プログラムの創設者で、30年以上にわたってアメリカ大統領や実業界のリーダー達にアドバイスを行ってきました。
最初に、交渉でまず大切なこととして相手の戦術を分析することが示されています。
「妨害的戦術」 交渉の進行を妨害することで交渉を有利に運ぼうとする戦術、「なにしろ我が社の方針なのですから」と立場は変えられないと主張する相手。
「攻撃的戦術」 「私たちの要求をのまないと大きな損害になる」と恐喝まがいな相手。
「欺瞞的戦術」 でたらめなデータを使い、自分の立場を通そうとする相手。
次に、その分析に基づいた効果的な対応術が示されています。
「それでは誰なら許可してくれるのですか」などという「イエス」か「ノー」では答えられない質問で交渉すること。
「あなたの考えに基づいて私たちが行動した場合はどうしますか」など、相手の考えへの理解を表現すること。
本書で貫かれている主張は、交渉とは決して勝ち負けを競うものではなく「相互満足」を目指すものであるということです。
ただ、一つ問題なのは、こちらが本書で交渉の腕を上げても、北アイルランドや中近東の紛争のように、己の権利は主張するが相手側にそれを認めようとしない相手の場合は交渉は不可能だということです。例えば、他国の武装は認めないが自らは武装を強化する中国のような国との交渉は、本書の手法をもっても困難だと思えます。
この著者の交渉術は何度も手を変え品を変え発売されているので、別に本書に高い金を払わなくても「NOと言わせない」で検索すれば500円台から買えますし、これが「ハーバード流」であり特別なのだということはないです。