三国志の末期を刻銘に綴った作品です。諸葛亮孔明亡き後の蜀を支えた姜維と、その姜維の牙城を突き崩し蜀を制覇せんとする司馬昭。また司馬昭の元で姜維を討ち手柄を挙げんとする鐘會と'ケ艾。必至の防戦を繰り返す姜維を放置し宦官に騙され酒色におぼれる蜀の愚帝・劉禅。同時期に繰り広げられた様々なドラマを判り易い文面で紹介しています。
鐘會と'ケ艾の心理戦の描写がスリリングで見事。また偽りの降参で鐘會を抱き込み、蜀再興を誓った姜維の心中が丁寧に書かれていて大変面白かった。
三国志は奥が深く、突き詰めれば突き詰めるほどマニアックな世界に入り込んで行きますが、それとは違う視点から三国末期の状況を見てみるのも面白いと思います。一般的には題材にも取り上げられない地味な時期の物語ではありますが、それでも実在した彼らは自国のために必死に生きた。その熱意が確実に伝わる、魂を揺さぶる物語ではあります。