ホモ男性に対してほとんど関心がないのに、こういった内輪話は興味本位で読んでみたくなる。
驚いたことに、伊藤文学氏はまったくのノーマル男性。結婚して子供もいる。
そんな著者が日本初のホモ雑誌を創刊したのは一番には経済的理由による商業戦略によるものであった、というのがいたって正直だ。
しかし、始めの動機は売らんかなであっても、その後の彼は、まことに正直に、己と異なる性意識を持つマイノリティーを守り、集結させようと努力を続ける。まあ、着実に商業面でも手を打ちながらということだが。
何度警察に呼ばれようが、氏にとっては風が通り過ぎたようなもの、「はいはい」とハンコをついては不起訴になって帰ってきて、また「薔薇族」を出す。非ホモ者である氏が、雑誌「薔薇族」を守るにここまで度胸が座っているとは、何か別の確固たる思想的背景を感じないでもない。当局にしてみれば、「煮ても焼いても食えないエロ本屋のオヤジ」ということになるが、いずれにしてもタダ者ではないだろう。
この本の柳眉といえる「エイズ感染者へのインタビュー」のスクープは、氏の真骨頂である。
「それが同性愛者であるならば、殺人事件の犯人だってつかまえられる」というくらいに同性愛者の世界は狭い、と言い切る著者は、その世界においての自分の情報収集能力に絶対の自信を持っているのだ。
この感染者が語っているように、同性愛者(特に男性)は相手を次々に漁って替えていく傾向が強いようだ。もちろん、特定の相手と長く続く場合もあるのだろうが、その理由はなんなのだろうか。結婚できない、ということか。
また、異性間の恋愛と比べると、メンタルなものよりも、より即物的な傾向が感じられる。妊娠の危険がないから、ということなのだろうか。
ノンケで女の私には、わからないことが多い。