SF・ファンタジー作家らが、トールキン体験を書いた評論・エッセイ集。
各々の、トールキンとの出会いのエピソードや、自作に与えた影響、
トールキン作品の考察など、興味深く面白い内容で読ませます。
本書の邦訳"『指輪物語世界』を読む"も持っているのですが、
邦訳独自の編集方針の為に、多くの優れたトールキン研究書を手掛けている、
ダグラス・アンダーソン氏の章など2章が訳されずにカットされており、
それをどうしても読みたくて、この原書 Meditations on Middle-Earth の
ペーパーバック版(ISBN 0-312-30290-8)も購入しました。
大ぶりのサイズで紙質も悪くはなく、これも邦訳でカットされてしまっている
渋い鉛筆画のジョン・ハウの挿絵多数も存分に楽しめます。
お目当ての邦訳でカットされた章ですがとても面白いものでした
(邦訳の編集方針は良い判断だったとは思えません)。
特にアンダーソンさんの章は期待通りの良文で、トールキン教授の作品・仕事
(そしてクリストファー教授らの仕事も)や、トールキン批評の変遷を、
流石に非常に上手くまとめておられて、記述はコンパクトですが情報に
不足も無く、これからトールキンを深く読み込もううとしている人に
よき道しるべになる文章でした。様々なトールキン体験が語られた本書の中に、
読者のトールキン体験を助ける、この文章があることの意味はとても大きいと
思います。