戦前の女学生が親しんでいた世界とはこのようなものだったのですね。発行の歴史のなかでも頂点に立つというこの1冊を読んで、その日本語の格調の高さ、美しさに驚きました。マンガ、ファッション写真が中心となっている現在の少女向け雑誌とはまるで違う細かな文字中心の世界。漢字のレベルも、学校教育からますます負荷を軽減している現在とは比べ物になりません。当時の女学校ではこのような日本語を使っていたのでしょうか。羨ましい限りです。
このお宝箱には古き良き日本とまだ見ぬ西洋への憧れが混在し、不思議な魅力を放っています。悩ましげな目をした着物姿の女性の挿絵、ルイ・パストゥール、ヨーゼフ・ハイドン、樋口一葉の生涯、中原淳一の挿絵が付いた川端康成の小説、石川啄木のカルタ(淳一の絵付き)、西洋のお姫様の裏側に隠された花言葉枝折などなど、今では暗黒時代のように言われている戦前の日本の少女文化を通して、当時の時代精神を垣間見ることができます。
1960年代に出ていた少女雑誌にはまだこのような雰囲気が残っていたように思います。高橋真琴や内藤ルネの描く西洋世界に憧れていた人には、このただただ紙で創られた美しき世界に共感できると思います。それにしても戦後の日本は、モノの氾濫と引き換えに、何と多くを失ってしまったのでしょう!