この本は、2008年の7月から東京国立博物館で開かれた「対決 ‐ 巨匠たちの日本美術」の公式ガイドブックで、日本美術史上の巨匠と呼ばれるアーティストを対決の形式に見立てて紹介していこうというものです。日本美術史の講義の何が眠いって、アーティストの顔が見えてこないことなんですが、その点では、この本とゆーか展覧会はアーティストの個性が際立って、非常にわかりやすい構成になっています。
「対決なんてけしからん」とか「対立の図式はなりたたない」などとお堅いことをいっちゃいけません。なぜって、ある形式に見立てて楽しむというのは日本美術の特質のひとつなんですから。
ぜひお遊び半分のゆるーい気持ちで見てほしいもんです。
それに、この巨匠たちの肖像画を山口晃さんという現代の絵師が描かれておりまして「なんかこんな人その辺にいそう」的な感じで面白いです。と同時に、これらの肖像画は現在の画家から見た過去の巨匠への批評(というとちょっと大げさですが)になっています。そういう意味では、これは現代の画家と過去の巨匠との時代を超越した対決ともいえるわけです。
で、内容のほうですが、当然ながら対決形式ですので、アーティストの作家性がない院政期以前の作品は紹介することは出来ておりませんが、それでもなお、鎌倉以降の美術史を概観し日本美術の粋に親しむ本としてはとてもいいんじゃないかと思います。
ぜひ、この本を片手にあなたが独断と偏見で巨匠対決の勝敗を決めてみてください。
そして、それが出来るころには、日本美術がもっと好きになっているでしょう。