(第1部のレビューから続く)
第1部のあとがきには、1作目が好評だったこととコンビの創作意欲の高まりから第2部以降も製作することになったとある。第1部で「坊ちゃん」という近代化途上の日本における敗者を描いたこのコンビが、第2部で表面的には近代化における勝者といえる「森鴎外」を選んだのは必然だったのだろう。
しかし、サブタイトルにあるとおり、この第2部で描かれているのは「舞姫」である。和魂洋才を体現する鴎外が、ドイツ人であるエリスと、「家」が個人に優先する日本の伝統の間で悩み揺れる姿が描かれている。
あとがきで関川は「近代以降…日本に恩恵を与え、同時に悩み苦しませてきたのは西欧文明であり、西欧文明とのつきあいのきしみである。…鴎外は、西欧とのつきあいにおいて近代日本の先達である」と記し、「洋才を内に秘めながら日本人とはなにか、日本文化とはなにか、という問いに呻吟しつづけた先師である」と続けている。私は森鴎外のことを詳しく知らないのだが、頷ける文章である。
この第2部でのもう一人の主人公はエリスである。日本にやってきた彼女は鴎外に会うことが出来ないのだが、その代わりに実に多くの人物に出会う。実際、この2部が彼女を中心に展開しているといっていい程である。当然創作なのだが、非常に生き生きと描かれている。しかし、日本での滞在を通じて日本文化を理解した彼女と鴎外と別れのシーンは、やはりこの作品のクライマックスであろう。このシーンの二人のセリフのために、この作品が描かれたのではないかという気がしてならない。
(第3部のレビューへ続く)