国家とは、「暴力による支配」の結果生まれたのであって、国家があってしかる後に暴力が必要とされたのではないというのが著者の主張である。
正当と合法、あるいは正当と正統等々の語義の確定から、様々な先行する国歌論を捌いていく様は見事である。決して、単純な説明ではないし、注意深く読む必要はある。また、『リヴァイアサン』やフーコー、ハンナ・アレント,カール・シュミットらが縦横に引用されている。しかし、著者の論理を辿ることは決して難しくはない。最新刊の『カネと暴力の系譜学』を先に読んでいたからかもしれないが、これだけリーダブルな国歌論も珍しいのではないか。とはいえ、決して水準が低い入門書という訳ではない。
『カネと暴力…』の方はおそらく中学生でも理解できる好著だ。これとて、内容は高度!
無理なく抽象的な思考を促すと言えばよいか。文体はどこか数学的とも言えるのでは?
こういう書物を読むことは、結構人生を変える経験になる気がする。
中学高校の教科書、大学の一般教養でのみならず、多くの社会人、ことに団塊世代には是非とも繙いてもらいたい1冊だ。源泉徴収で知らぬ間に徴税され、年末調整で喜んだりしている賃金労働者(評者もだ!)は多分目を開かされるだろう。
この著者の美点は読みやすさを心がけているというところではないか。主語ー述語の関係が明確で、論理が一貫している。煙にまくというようなところが微塵もない。社会科学=哲学の面白さを若年者や労働者にも啓蒙できる希有な人材とみた!!!
経済学にはこういう人はいない。
この本を読んでいると自分の頭が良くなってきたとさえ思わせる。うん、確かにこの本を読んでいるときは頭がよいのかもしれない。