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15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
シーナ流思索に耽る旅行記,
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レビュー対象商品: 『十五少年漂流記』への旅 (新潮選書) (単行本)
ジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記」(あるいは「二年間のバカンス」)の舞台となる島にはモデルがあった。しかも最近その定説に異を唱える(「別の島こそ・・・!」)日本人学者が現れた。浅学な私はそんなこと露知らなかったが、今回椎名誠はそのふたつの島に実際に行って真偽を確かめてこようと旅立つ。それが本書の縦軸。そこに「旅は私たちの思考を深めてくれるのではないか」という観点に立って数々の興味深いエピソードを横軸として織り交ぜていく(「漂流記」モノのブックガイドというパッチワークも有)。季刊誌「考える人」に連載されたとあって、抑制された筆致で身辺雑記風なテイストからも解放され、椎名誠の昭和軽薄体に食傷気味な私には大満足の一冊でした。岩波新書から出た椎名誠の本2冊を彷彿とさせる浪漫的好奇心を心地よくくすぐってくれる好著だと思う。この路線を支持致します。
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
知的放浪者・椎名誠の未知への挑戦,
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レビュー対象商品: 『十五少年漂流記』への旅 (新潮選書) (単行本)
『『十五少年漂流記』への旅』(椎名誠著、新潮選書)で、著者が自分自身をこう語っている。「ぼくは読書が好きである。それから自分でも呆れるほどよくうごきまわる。好奇心にかられてどこかに行く。それが隣町の公園であったり地球の裏側であったりする。本を読んで何か気になると、それを確かめねば気がすまない、というせっかちで落ち着きのない困った性格なのである」。椎名の長年に亘る数多の作品は、自分も著者と同じ性格だ、と自覚している読者たちによって支えられてきたのだろう。この性格の原点は、小学生のときに出会った2冊の本――スウェン・ヘディンの『さまよえる湖』と、ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』だという。 本書は、冒険小説『十五少年漂流記』の舞台となった南太平洋の孤島を探し、その場に自分の足で立ってみたいという、いかにも著者らしい夢に挑戦した旅行の記録である。ヴェルヌ研究家の間でモデルとされてきた島は実は違うのではないか、本当のモデルの島は別の所にあるのではないか、さらに、この小説にはどうも隠された秘密があるのではないか、と著者は睨んだのだ。ヴェルヌはその作品にさまざまな謎や秘密を仕掛ける作家として知られているからである。そして、いろいろと回り道をしたものの、遂に『十五少年漂流記』に描かれた十五少年が漂着した無人島の地図とそっくりの島に辿り着くまでが臨場感豊かに描かれている。 未知のことに出会うとそれについての本を読むことが俄然楽しくなり、何か謎があると本を読んで個人的な解明に挑戦していくというのが、椎名の知的行動の端緒になっている。まだ見ぬ世界や知らない世界を知ることに知的な楽しみがある。知らない世界に入り込んでいくと思いがけない思考に浸ることができる。日常生活ではありふれたものと見做していたものが、未知の世界では全く異なった姿で立ち現れてくるので、今まで気がつかなかった大きな意味を突如知ったりする、と著者は言うのだ。この知的好奇心を満たすには、実際に冒険や旅行を体験するのが一番だが、探検記、冒険記を繙いて追体験するという方法も有効だ。
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