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『七人の侍』と現代――黒澤明 再考 (岩波新書)
 
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『七人の侍』と現代――黒澤明 再考 (岩波新書) [新書]

四方田 犬彦
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

日本映画を代表する古典的名作として、幾重にも栄光の神話に包まれている黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表も続く。制作過程や当時の時代状況などを考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。

内容(「BOOK」データベースより)

日本映画を代表する名作として、幾重にも栄光の神話に包まれてきた黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表が続く。制作過程や当時の時代状況などを丹念に考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。

登録情報

  • 新書: 224ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2010/6/19)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4004312558
  • ISBN-13: 978-4004312550
  • 発売日: 2010/6/19
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (14件のカスタマーレビュー)
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
ハリウッドや欧州の映画だけに偏らない著者ならではの視点で捕らえた
『七人の侍』を見つめなおす作業は、第一章、第二章と面白くワク
ワクさせられる導入。途中、「描かれない敵」「菊千代を挟んだ百姓と
侍の断絶」等々、どこかで見た『七人の侍』評論の繰り返しで中だるみ
するが、最終的に晩年の『夢』の最終話に結びつけた『服喪』という
キーワードが新鮮で、最後まで一気に読めました。

ただ、あちこち、例えば最後の戦闘が終わった後に登場人物の勝四郎が、
勝利の「感激のあまり狂ったように泣き叫ぶ」等々細かいディティール
の説明に違和感を感じてしまう部分があったのも確か。もちろん、個人差
はあるのでしょうが、あの叫びを「感激」と捕らえる人がいるということ
自体がそれこそ新鮮な驚きでした。また、久蔵の登場場面を、決闘後、
「吹き荒ぶ風の中を静かに去っていく」と表現するなど、同じ映画を見て
いるとは思えない表現があちこちで散見されるのも気になるところです。
もしかしたらシナリオをそのまま引用しているのかもしれませんが、作品
として出来上がった映像との対象比較でならともかく、実際のスクリーン
とは違ったものを論拠とするのはいかがなものでしょうか。

それと、「野伏せり」を「野伏せ」と繰り返し表現するのはどうしてなんでしょうかね。
校正のミス? それとも何か意図が?
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ともぱぱ 殿堂入りレビュアー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
「七人の侍」的な状況は現代でも旧ユーゴスラビア等の紛争地域に存在し、故にアクチュアルな映画だとの認識の下、構想時の時代背景、シナリオの変遷、撮影の様子、侍・百姓・敵の描き方、黒澤明作品史・日本映画史の中での位置づけ、海外での受容のされ方等を詳細に論じている。新書による「七人の侍」考のベストだろう。

1つの映画ジャンルの祖型であり、戦後10年も経ない時点で創作・公開された映画であることの指摘に納得。街に浪人(復員兵)や孤児がいたこと、何より戦禍の記憶が本作に影を落としていることには同意できる。菊千代の年齢が13歳の含意に初めて気づいた。

チャンバラ時代劇に革命を起こすための周到な手回し、しかし黒澤時代劇が真に他の時代劇に影響を与えた作品は何か等、黒澤映画史の分析も鋭い。

侍・百姓・敵の描き方は作品の詳細に関わるので、映画を未見の人は要注意。侍・百姓が未分化だった史実を誤認していること、敵味方を単純に二分する西部劇の枠組みに囚われているとの批判はあたっているが、仕方ない面もあると思う。

本書の白眉は映画のエピローグでの「服喪」についての論考。「夢」にまで及ぶ問題だとは!
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 服部弘一郎 トップ500レビュアー
形式:新書|Amazonが確認した購入
 黒澤明生誕100年を記念して、映画評論家の四方田犬彦が書き下ろした『七人の侍』論の形を取った黒澤論。『七人の侍』という作品がいかに世界的な支持を受けているのかを、著者自身の実体験を交えながら紹介していく出だしは面白い。戦争の記憶がまだ生々しく残る1954年(昭和29年)という年に、『七人の侍』を通して観客が何を観たかという注釈にも「なるほど」と思わせるところがある。『七人の侍』の続編を作るなら侍たちは朝鮮半島に渡っただろうという指摘、『七人の侍』の村はやがて『夢』に出てくる水車小屋のある村になるという説明や、『七人の侍』というフィルムに最適の注釈となるのは同じ年に製作された『ゴジラ』だと論じるあたりはユニーク。その上で著者は、『七人の侍』の特徴を「服喪の感情」だと結論づける。

 しかし僕はこの著者の分析に、いくつかの違和感や不信感を持っている。それは例えば、映画に登場する「野武士=野ぶせり」を、この著者が繰り返し「野ぶせ」と表記していることに対する違和感に端を発し、『荒野の七人』でメキシコ人の村を守る傭われガンマンと村を襲う盗賊団が容易に置換可能な存在として描かれていることをなぜか見落としていること、映画のラストシーンの解釈も自分の結論に合わせて細部をあえて無視していること、従来の型にはまらないリアルな殺陣なら『羅生門』にも既に存在することを著者がまったく無視していることなどが、ある種の不誠実さのように見えてしまうのだ。

 『七人の侍』の海外での評価や解釈という点では、『七人の侍』から30年後に製作された台湾映画『策馬入林』を取り上げる以前に、まず正式なリメイク作である『荒野の七人』との詳細な比較をしてみるほうがよほど有意義だ。そこには財宝目当ての傭われガンマンもいれば、狡猾な盗賊団の首領もいる、ガンマンと盗賊団は相互に置換可能な存在として描かれているし、ガンマンと農民を隔てる境界線もほとんどない。リメイクはオリジナルに対する「批評」でもあるのだが、じつはこの本で著者の四方田犬彦が指摘している疑問点や問題点の多くを、『荒野の七人』は既に指摘しているのだ。
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