近年とみにその重要性が叫ばれているキャリア教育。しかし、著者も本書
で、「多くの教師は自らのキャリアに対してあまり自覚的に考える経験を
持っていない」(p. 228)現実がある中で、生徒にキャリア形成支援をし
なければならないことに不安や抵抗を感じていらっしゃる方も多いのでは
ないだろうか?
本書は、キャリア教育とは何かを知りたい方にも、キャリア教育をどのよ
うに実践していけばいいのかを知りたい方にも、益するものが大きい良書
である。
言葉が持つイメージからか、キャリア教育は、仕事や職業に直結したもの
として一般に考えられている節がある。しかし、本書ではキャリア教育を
もっと広義に捉えていて、提出物の期限を守ったり、一つの事をやり遂げ
たり、豊かな人間関係を築いたりといった学校教育や人間教育に共通する
ものだとしているため、著者が小学生からキャリア教育をする意義を唱え
ていることに同意できるのである。
こういった観点に立ち、本書では、出会いに生き方を学ぶ力、夢見る力、
自分を見つめ選択する力、人とかかわる力、達成する力、七転び八起きの
力、社会や人に貢献することに喜びを感じる力の7つの力をキャリア教育
で育てるべき柱であると述べている。
これら力を育てるために、小学校、中学校、高校と発達段階に合わせた現
場の先生方による優れた教育事例実践を紹介しているため、すぐに取り入
れ応用できるのが嬉しい。また、本書最後には、教師のキャリア感を高め
る必要があるとし、心がけるための9つのレッスンが紹介されている。
この一冊で、キャリア教育の概念や必要性とともに、実用的な実践例も学
べる。著者の述べる言葉にも説得力があり、教師としてのキャリア感も高
めてくれる非常に有意義な本である。