(総評――本書の内容を「一秒!」で述べるなら)
「普通のビジネスマンが、HPのIR情報に載っている決算情報を10分くらいで読むときに、目をつけて電卓をたたいてみるべきポイントが、財務諸表ごとに3〜4ポイント丁寧に柔らかく書かれている本」です。
内容自体は、今まで財務諸表を実際に手にとって読んでみたことがない人が、財務諸表を読みながら読む「参考書」としてはいい本です。ビジネスマンが、企業の概要を知りたいときに財務諸表から「ザッと」読むべきポイントがまとめてあるので、専門的なことはいいから、とにかく実用できればいい、というニーズにマッチします。
――――以下詳説―――――
(本書のざっくりとした紹介)
●「一秒で!」というタイトルがセンセーショナルだったためにベストセラーとなった一冊
●しかし実態はタイトルとは乖離。経営コンサル、都銀(現三菱東京UFJ)、明大会計専門大学院の実務家教員である著者が「一秒しか読めないとしたら、私はココを読みます!」と思う財務諸表の最重要ポイントを、ケースを交えてお伝えする本。すなわち、簿記等の技術的な話ではなく、ビジネスマンがざっと財務諸表を読むときに目をつけるべきポイントが財務諸表ごとに紹介されているだけ(いい意味でも、悪い意味でも)の本。
(本書の内容)
●貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算…と、財務諸表毎に、読み取るべき重要ポイントを概説していく構成
●従って、「一秒で」という特殊能力を身につけるというよりは、「ビジネスマンが、HPのIR情報に載っている決算情報を10分くらいで読んだときに、目をつけて電卓をたたいてみるべきポイントが、財務諸表ごとに3〜4ポイント丁寧に柔らかく書かれている本」というのが実態。
(本書のレベル・用途)
●もうすでに財務諸表を分析できるレベルの人が特殊能力をつけたくて読むようなものではない。タイトルに偽りあり。レベルが低すぎる。自分が既にこのレベルにあると思う人は、
「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】の方を読みましょう。この手のキャッチィーなビジネス書には珍しく、電卓を実際にたたくような財務諸表の分析や、実務的な基準(何%とか)が山ほど出てきます。こっちの方が、「一秒で読むなら・・・・」という仮定にはマッチするでしょう。
●今まで財務諸表を使ったことのない人が、「どこをどうやって読めばいいんだ???」という状態からスタートするには最適。
●上の裏返しとして、解説が柔らかいので、厳密な理解を求める人には向かない。あくまで、ビジネスマンが、10分間で財務諸表を読んで、企業のイメージをつかむための方法が書かれている本。
(おススメの使い方)
●花王が・・・日産が・・・トヨタが・・・という形式で書かれているので、実際に当該企業のHPのIR情報から、連結ベースの年度決算書をダウンロードしてきて参照しながら読んでみるとGOOD。