個人の力があってこそのチームプレイ、戦術であることを、そしてよりプリミティブな基本技術の精度の高さこそが
より高い次元に昇る為の源泉であることを指導者の立場から喚起せんとする意欲作であり、
現場での永年の指導と自らの経験知をベースに、昨今の戦術論に傾き過ぎたサッカーへの批評に一石を投じている。
サッカーは監督の指す将棋ではないこと、個々のプレーヤーの能力を掛け算で最大化=最強化・最適化するのが
監督=マネージャーの責務であること、その方向性を理解し選手自身が全員でその体現を図ることがサッカー本来の
あるべき姿であり、戦術とはある意味で表層に過ぎないというところだろうか。
1対21とは1人のプレーヤーが10人の味方の在り方を知り、敵の11人の在り方を察知した上で、
自らがどのようなプレイを選択していくのかが重要であり、チーム戦術の前に、グループ戦術があって
グルーフ戦術の前に個人としてのプレイの選択があるという当たり前のことに敢えて回帰することの意義を
伝えたいのだと思う。文章がやや単調で熱く語る部分が伝わり難い(元々クールな書き口でもあるが)し、
さらっと読むと何を今更?と流してしまいそうになる気もするが、個の力とチームの力の在り方を
改めて論じた点は温故知新で却って斬新ではないか?尤も本気で育成に取り組んでおられるプロ
からすれば当たり前のことに過ぎないのかも知れず、それだけ世の戦術論がいかに空疎であるか
ということかも知れない。今後の日本サッカーの飛躍、ザックJapan各位の勇躍を期待したい。