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46 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自分の頭で考えることの大切さと難しさに気づかされる,
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レビュー対象商品: 「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫) (文庫)
題名から、オウム真理教の非合法活動や非合理・反社会的な日常活動を抉り出しているのだろうか?と思い、興味本位でこの本を手に取った。しかし、この本を読んだ後は、如何に、自分がマスコミの報道に染まり思考停止していたのか、ということを強烈に思い知らされた。この本は、オウム真理教を擁護する本でもなんでもない。極論を言うと、日本人が如何に自分の頭で考えない国民であるか、日本のマスコミが世間体のみ気にする主体性の無い自立していないメディアであるか、言い換えると公共性・客観性を標榜しつつ現実には世論(例えば、放送直後の抗議電話)や権力に追従しているだけ(事なかれ主義)の存在であるかを、ドキュメンタリーという手法を用いて抉り出すために、誰でも知っているオウム真理教の事件を題材に選んだだけである。 著者がベルリンの映画祭で、この本のドキュメンタリー「A」を上映した後の質疑応答で答えたフレーズが印象的であった。「オウムにも警察にもマスメディアにも、とにかくほとんどの日本人に共通するメンタリティーかあります。共同体に帰属することで、思考や他社に対しての想像力を停止してしまうことです。その危険さを僕は描いたつもりです。」 この日本人共通のメンタリティーは、太平洋戦争という昭和の一時期に起きた不幸な出来事においても重要な部分を占めている。最近の企業の不祥事においても典型的に観られるものである。 一方で、レビューを書きながら、オウム事件を「一部の幹部が起こした事件であり末端の信者はその被害者である」という捕らえ方が、正に日本における太平洋戦争の戦争責任論と同じ論理構成になっていることに自分自身気づき、愕然とさせられた。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
“情”治国家日本,
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レビュー対象商品: 「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫) (文庫)
「A」というタイトル。本書の終わりで著者が告白するように、ドキュメンタリーの客観性に対するある種の諦めが このタイトルには表わされている。 ドキュメンタリー映画「A」では、投げやりな筆致で書かれた「A」という文字が、 黒い画面に白抜きで浮かぶ。 なんでも良かった、と著者は言う。 ドキュメンタリーに客観性を持たせることは不可能であるというスタンスを維持しつつ、 自分の目に映るオウムの姿を撮影しようとした。 だが結局最後までオウムという集団の姿を捉え切ることはできなかった。 森達也は作品の方向転換を迫られる。 カメラはオウムの外側へと向けられる。そこには奇妙な人々が映っていた。 自らの正義を決して疑わない人々。コンクリートに頭を打ちつけ気を失った人間を 喜ばしそうに微笑みながら眺めている人々。 オウムに人権はない。悪魔や鬼畜に人権がないのと同じように。 それがまかり通っている。法よりも情が優先される。 感情的に騒ぐだけ騒ぎたて、時が経てばさっぱり忘れる。 それがオウムの外側にある、我々の住む社会の姿だ。 オウムは現代の日本社会に居場所を見出せず、半ば村八分の状態におかれた 人々が寄り集まった集団だった。 それが国家転覆を狙うまでの力を持った。 単なる思考停止以上の重大な問題がここにはある。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「やはりインタビューはわたしにしてください。」,
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レビュー対象商品: 「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫) (文庫)
「A」の中で信者にインタビューを試みた女性アナウンサーに荒木浩がかけた言葉。ここで件の信者へのインタビューを諦めた彼女の態度を著者は本書の中で称賛しています。 少なくとも彼女は「思考停止」していない。 ベルリンの映画祭で「A」が公開されてたとき、観客が森氏に「こんな風に(オウムだけ でなく)警察やマスコミふくめ全国民がグロテスクなまでに思考停止しているのは 日本だけだ」と声を上げた後、「どの国も同じ。だから戦争は必ず起きる」と言い残して 劇場を後にした老婆。 これだけの長期に亘る密着取材を経たのちに森氏がたどりついた結論:結局オウムはわからない。 「真理は、私は絶対に変わらないものだと思います。そして私は、ここで真理に出会った という、確かな感覚を持っています」と言う荒木浩の心理を「わかる」ことなどできはしない。 曖昧に「わかる」ことを一刀両断に否定される。「A」「A2」、そして本書を読んで もった感想です。
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