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「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
 
 

「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks) [単行本]

川島 博之
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「食糧問題」をシステム工学から分析!
本書は次のような説に、一次データから食糧問題の正しい見方を示します。

1. BRICs の成長で所得が向上した人々の生活に肉が増えて、飼料用穀物の需要爆発!

2. 世界中で魚の需要が高まり、「買い負け」で日本人の食卓から魚が消える!

3. 人口爆発! 2050年、60億人から90億人に人口が増えて、世界は飢餓地獄に!

4 .バイオ燃料でパンが消える。穀物エタノールの生産で、需要が供給を圧迫する!

5. これ以上食糧はつくれない! なぜなら...
・食糧生産技術の限界・農業用地減少・水も肥料も不足・地球温暖化・穀物在庫率低下!

6. 今回の食糧危機は、いままでと違う!

明日の日本の農業政策、農業ビジネスを考える人に必読の書

内容(「BOOK」データベースより)

食糧問題をシステム工学で分析した。「食糧は、本当は余っている!」BRICsの経済成長、人口爆発、生産量の限界、「買い負け」、バイオ燃料、食糧自給率…食糧危機の俗説を一網打尽。

登録情報

  • 単行本: 237ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2009/3/26)
  • ISBN-10: 4163712402
  • ISBN-13: 978-4163712406
  • 発売日: 2009/3/26
  • 商品の寸法: 18.2 x 12.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
133 人中、117人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 棚田
形式:単行本
これまで探してもなかなか見つからなかったデータも盛り込まれていたので、参考になりました。
が、明らかな事実誤認にもかかわらず、「歴史を調べると」と、さも大量の資料に当たったかのように書いてある一節があり、果たして他のデータも十分に信じられるのか、不安に思いました。

事実誤認というのは、「不利な農地が要らなくなった」のまるまる一節です。
「日本で段々畑が広がっていったのは主に江戸時代の初期だと考えられています。」
これ、史実と全く逆です。
平野部での栽培は江戸時代からで、それ以前は平野部は農地としては見向きもされず、専ら耕されていたのは棚田(段々畑)ばかりだったのです。
なぜなら、平野部は耕作不適地だったからです。

江戸時代に入ってからでも長らく、平野部は沼地でした。
それもそのはず、地形的に平らなのですから、雨でも降れば水浸しで、コメを植えてもすべて流されてしまいます。
いつも湿度が高いですから、疫病も発生しやすく、平野部は人の住むところでなかったわけです。
このため、江戸時代までは中山間地に住み、棚田(段々畑)を耕して暮らしていました。

江戸時代に入ってから、灌漑施設と排水設備を作る技術が発達し、平野部を水田に変えることができるようになりました。
「耕作不適地」である平野部で耕作できるようになったのは、この頃からです。
大阪には鴻池新田など、新しく田んぼにした地名が残っていますが、このことからも大阪平野の広大な土地は、江戸時代からようやく水田に変えることができるようになったことを示しています。
 #歴史の名高い楠木正成は農民の水利権を決済する頭領でしたが、住んでいた場所は今から見れば中山間地です。楠木軍が敵を撃退した有名な場面が山間地であったのは、このためです。当時はまだ、大阪平野は広大な沼地でした。

平野の方が農地として優れ、中山間地の方が不利な農地であると考えるのは現代人的発想で、江戸時代までは中山間地の方がよほど耕作地に適した土地であったわけです。
筆者は憶測でこの一節を書いたのではないでしょうか。

こうした史実を知っている人間から見ると、112ページの、
「段々畑の歴史を調べると、段々畑を作るほかない山地に行ったのは、他の地に行き場のない人たちだったことが分かります。
 典型的なのが平家の落ち武者です。」
という文章を読むと、ずっこけてしまいます。
もしこれが本当なら、江戸時代以前の日本人はすべて平家の落ち武者です。

「段々畑は日本ではだいたい三、四〇〇年の歴史があるのですが」というのも、全く間違い。
「平野での田畑はだいたい三、四百年の歴史があるのですが」が正解。
筆者はどこかで全く逆の思い間違いをしてしまったようです。

調べてもいないことをさも「しっかり調べてみました」というように書いているところがとても気になります。
他の箇所でも同様のことはないのでしょうか。
この本に書かれているデータを鵜呑みにせず、自分の目で再検証することが必要だと感じました。

(追記)
その後、水産の専門家による次のような書評を見つけました。
http://katukawa.com/?p=1422
水産に関するデータについて、著者はかなり恣意的な扱い方をしているようです。
その他のデータも、専門家から見ないと分からないデータの恣意的扱いがあるかもしれません。
もしかしたら著者は、「先に主張ありき」で、その主張を裏付けるように見えるよう、データを恣意的に扱っている可能性があります。
精確なデータと解釈が伴わなければ、著者が専門としておられるシステム工学は「都合のよい主張をするための小道具」になってしまいます。
この本のデータを鵜呑みにせず、元のデータを一つ一つ確認していく作業が必要なようです。

(追記2)
この本の主張にとっても重要な、アメリカのオガララ帯水層のデータについて、過小評価(無視)が判明しました。筆者はアメリカの穀倉地帯であるハイプレーンズについて、「オガララ帯水層の化石地下水を利用して穀物が栽培されている農地は、面積にしてアメリカの全農地の5%ほどです。」と、小さな数字をあえて強調し、「こんなところがダメになったところで全体に影響はない」というような論旨を展開しています。しかし実際には、ハイプレーンズでは全米で生産されるモロコシの5分の2、小麦の6分の1、綿花の4分の1が生産されています。農業生産は非常に大きく、極めて重要な地域であるにもかかわらず、「全米の面積からすればわずかな面積、こんなところがダメになっても影響はわずか」という論旨で、過小評価しています(p122〜126)。
自分の主張に都合の悪いデータは過小評価し、都合のよい数字を強調して誤認を誘導し、あるいは検討を見送る(無視する)傾向が認められます。どうやら、この本に掲載されているどのデータも、読者自ら検証する必要があるようです。
それにつけても残念なのは、「データの不正確」を批判している筆者が、自ら「データの恣意的扱い」という重大なミスを犯していることです。筆者の強調する「システム工学」が、「些末なデータを強調し重要なデータを過小評価することで思い通りに印象を変えてしまう」という道具になっているとすれば、システム工学を研究されている方々にとっても、悲しいことだと思います。
このレビューは参考になりましたか?
31 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By それから トップ1000レビュアー
形式:単行本
「BSEの恐怖」、「新型インフルエンザ(H5N1亜型)の恐怖」、「原油の高騰とバイオ燃料がらみの食糧危機」そして極め付けは「二酸化炭素増加による地球温暖化問題」。
それぞれについて政府機関や専門家はもっともな方針・政策や見解を述べるが、不幸なことに一般国民としては眉に唾をつけて考えざるを得ない場面も多い。特に政策として安易に採用されれば、場合によっては効果も期待できないのに多大な税金負担を生じた上、国際間競争のなかで国益を損なう恐れも大きい。

 本書は巷間、伝えられる「食糧危機」についての明快な反論である。文章は読みやすく一晩で読了できる。例え、「食糧危機」に関しての個々の見解が正しくとも、このような問題については総合的なシステム思考が重要であることが理解できよう。関心ある人に是非読んでいただきたい良書である。

 少々、残念なのは細部に誤解がある点である。例えば、中国で畜産振興にともなう穀類(コーン)の不足は大豆ミールでカバーされたかのような記述がある。実際にはコーンは中国で大幅に増産されており、不足する蛋白質源として輸入大豆由来の大豆ミールが使われたということである。また、畜産の進歩を記述するなかで豚は食用に生後四カ月程度で出荷されるとしているが、いくら改良された豚でも考えられない。著者の全体としての見解には大いに賛同するものであるが、上記の点から星三つとした。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
今後も世界の人口が増え続けると食糧が足りなくなる危険性があると言われます。
これに対して筆者は食糧危機の蓋然性が低いことを様々なデータに基づいて検証し、主張しています。

骨子を書けば「2050年に91億人に達すると予測されている世界の人口は、それほど増えない」「世界には休耕地がたくさんある」「肥料を使わないため生産性が非常に低い農地が世界にはたくさんある。肥料を使えば生産性は格段に高くなる」ということです。
いずれも個々には説得力がある視点です。

しかし筆者の主張に反して人口が増えて食糧が足りなくなる恐れが出てきた場合、休耕地をどのようにして稼働するか(世界中の人が脱農するなかで誰が耕作を行うか)、今肥料を使っていない農地でどのような過程を経て肥料が導入されるか(資金の問題も)、耕作が追い付くまでの間の需給のひっ迫が食糧価格にどのような影響を与えるか(この本では食糧危機は食糧の数量面での過不足のみが論じられており、価格に関する考察が見られない)といった動的な分析が欲しかったです。

評論家による本であれば今の内容で十分だと思いますが、東京大学の准教授の筆者なら、そういったもう少し深い分析が欲しかったです。

というわけで、裏表紙に書かれている「目からウロコの真の啓蒙書」というコピーはちょっと大げさだと思いました。啓蒙書というほどの内容ではないでしょう。
しかし「食糧危機は起こらない」という視点を提供する数少ない本なので、読む価値はあると思います。
このレビューは参考になりましたか?
最近のカスタマーレビュー
長期的には正しいのだろう
食糧危機や食糧自給率の向上が叫ばれる中、それをシステム工学の立場から検証するという良書。本書を読めば長期的な食糧需給は心配ないという結論になるのだろうが、著者も警... 続きを読む
投稿日: 2010/1/11 投稿者: 黒木 学
反省しています。
なんでも自分で考えるべき、と思ってきました。

しかし、食糧危機に関しては、ジャーナリストの言うがままを信じてきました。... 続きを読む
投稿日: 2009/9/23 投稿者: kanchan33
タイトルは、くだけているが
真面目な中身となっている。(ちまたに多数あふれている「トンデモ理論」の本ではない)... 続きを読む
投稿日: 2009/9/3 投稿者: ジュンタ
「食糧危機」なんてこない方が気が楽だけど・・・
ほかのレビューにも書かれていますが、「食糧危機」説の原因と言われるものを一つ一つ論理的に否定しています。読んでみると説得力があり納得させられるものです。続きを読む
投稿日: 2009/8/15 投稿者: 牛舎猫
自分の頭で真実を考えるヒントを与えてくれる本です
「食糧危機」に関しては報道の過熱であったり思い込みで、
現状以上に悲惨な状況なのでは?と消費者は不安に感じている。... 続きを読む
投稿日: 2009/6/5 投稿者: 君に会いに行くよ
一つの論点として有用。
食料危機論者たちのバイアスに満ちた議論に実証的に反論する、というのが本書のスタンス。... 続きを読む
投稿日: 2009/5/19 投稿者: べっとむ
食料危機だけは本物だと思ってた時期がボクにもありました・・・
『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の武田邦彦が『食糧がなくなる!本当に危ない環境問題』を出し、それと同様の主張の末松広行『食料自給率の「なぜ?」』を(しがらみ... 続きを読む
投稿日: 2009/5/6 投稿者: moomoos
ペーパバックスのいいところ
 農地を有効活用しているか。1ヘクタールあたりの穀物を収穫をどのくらい上げているかの図表は非常に参考になります。... 続きを読む
投稿日: 2009/5/3 投稿者: 河岸宏和
食料危機の風説を豊富なデータで論破
本書の内容紹介のところに1.から6.の食料危機が発生する根拠が記載されています。... 続きを読む
投稿日: 2009/4/10 投稿者: avalon
気楽に読める「食糧危機」の最前線
20年間隔で繰り返し唱えられる「食糧危機説」。FAO等の一次データを基に、世界の地理的差異に、歴史的・文化的背景を加えて、幻の「食糧危機」の実態がわかりやすく解き... 続きを読む
投稿日: 2009/4/2 投稿者: 信州閑人
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