韓非子といえば「性悪説」に基づいて、人間関係や組織のリーダーがどのように立ち回ればいいかなどが書かれている。
本書を読んでいて日本の歴史上のある人物を思い出した。
徳川家康である。
1600年におきた「関ヶ原の戦い」では「利」を使って諸大名を味方に引き入れる家康と、豊臣家に対する恩義、つまりは「義」をもって家康を倒そうとする石田三成が関ヶ原で対決した。
「義」だけで全軍を動かそうとした三成、「利」をもって人心を掌握した家康、勝負は半日で家康の勝ちだが、家康が勝てたのはまさに「韓非子」の考え方であるのではないだろうか(家康が「韓非子」を読んでいたかどうかは別として)。
義だけでは原動力にはならないのだ。
確かに最初は西軍が押していたが、やがて力づきた。
逆に東軍は序盤こそ押されていたが、勝利後の恩賞を信じて最後は踏みとどまりついに勝利した。
まさに「韓非子」の教えそのものではないか。
ここまで「韓非子」をほめていると他はどうでもいいと思われがちだが、そんなことはない。中国古典はすべてが大事だと言える。
とくに韓非子とは対極の孔子の考え方は知っておいたほうがいい。
人の考えを読むことも大事だが、「仁」、つまり「思いやりの心」を忘れてはいけない。
日本人の思想の原点はそこにあるのだから。