登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
24 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「鎖国」の解体,
By
レビュー対象商品: 「鎖国」という外交 (全集 日本の歴史 9) (ハードカバー)
鎖国なるものが実体としても概念としても、江戸時代には存在しなかったというのは学術の世界では定説化して久しいが、本書はその研究の一つの到達点を示したものである。 政権を握ってから、朝鮮半島と戦後処理や明清交替といった東アジアの激動の中で、幕府は海禁政策をを推し進め、人や情報を統制する。今日でさえ、海外と行き来するのには政府の許可がいるし、空港など定められた場所のみである。積極的に幕府は「鎖国」政策をとって行ったのである。その肯定的・積極的な意義を本書は明確に示してくれる。 ただ東アジアに重点が置かれすぎて、当時のイギリス・オランダ・スペイン・ポルトガルなどの国際環境が十分取り上げられていないので、別の本などで十分情報や視野を補完することが望まれる(筆者の専門がそうであるし、そう断りもあるのだが)。 特に興味深いのは「異人」像や朝鮮通信使、富士山の表象文化論的な考察である。斬新や視点から、当時の人々の感覚や物の見方を浮かび上がらせる。これも日本人でないから得られた視点なのかもしれない、と言ったらそれこそ「鎖国」的な視野狭窄な物言いだとのそしりを受けてしまうだろうか。
14 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
目から鱗,
By
レビュー対象商品: 「鎖国」という外交 (全集 日本の歴史 9) (ハードカバー)
江戸日本は鎖国だった。朱印船貿易等を通して海外に開かれた日本はやがて秀吉のキリシタン追放や徳川の「鎖国」政策によって「開かれた日本」から「閉ざされた日本」へと転換し、発展から取り残されていくことになった。長崎の出島は鎖国の唯一の例外として開かれた窓であり、基本的に幕府は「鎖国」という孤立主義的な消極的対外政策を展開した。このような「鎖国」史観は80年代以降の研究を通じて歴史学的にはほぼ否定され、近世日本は「鎖国」ではなかったという認識が主流となっているという。本書は、朝鮮通信使研究を専門にしそのような「鎖国」史観批判の一翼を担ってきた著者による、江戸日本を世界の中で捉え直す試みである。日本は、決して閉鎖されていたわけでも、孤立していたわけでもなく江戸時代を通じて日本の外交や政治経済は常に出島・琉球・松前・対馬という「四つの口」を通して東アジア諸国と密接な関係にあり、幕府の外交政策は東アジアの地域経済にとっても極めて重要な役割を果たしていた。「鎖国」は国家方針を示すフレーズとしても対外関係の実態を示すフレーズとしても的を得ないものであった。「四つの口」は「鎖国」の例外ではなく、それこそが幕府の方針であり、それは現在でも日本に外国人が入国する時は空港や港など限られた口からでないと入国できないのと同じようなヒト・モノの出入りを管理する入管体制だったという。 著者によると江戸日本を「鎖国」とみなす考え方は江戸時代初期にはなく、18世紀後半にロシア船の来航が相次ぐようになってから松平定信が「鎖国」こそ幕府開闢以来の伝統であると表明した一種の過去の書き換えに由来するという。本書は江戸時代を通じて繰り返された朝鮮通信使の来日や日本―明・清関係、鉱物資源流出規制、アジア情勢に関する様々な情報収集、日本とアジアの双方を視野におさめた徳川吉宗の経済政策など興味深い事実を満載しつつ、江戸日本が実は「鎖国」というイメージからほど遠いものであったことを示してくれる。また、後半の章ではそうした世界との交流の中で培われる日本人の異国認識が記録画や屏風など様々な史料を基に紹介されている。最新の研究成果が一般向け通史の形で分かりやすくまとめられ、江戸日本の成熟した政治・外交・経済の実態がよく伝わってくる好著。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
世界との関係性の中に日本を位置づけ直す好著,
By ぽけっと (東京都大田区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「鎖国」という外交 (全集 日本の歴史 9) (ハードカバー)
文句なく満点! 江戸時代日本の外交政策は実は「鎖国」ではなく、反キリスト教を国是とした、戦略的かつ管理されたものだったというのがタイトルの含意で、その点に関する章が中心ではあるのだが、本書の内容はそれだけに留まるものではない。徳川国家、ひいては日本が「世界」をどのように認識していたか、その中の「日本」をどのように認識していたか、さまざまな題材で多角的に迫る。異国人がどのように描かれたか(第4章)、朝鮮外交使節の行列を徳川幕府がどのように「利用」したか(第5章)、中国本土から富士山が見えるという「富士山」言説が「神国日本」のイメージ形成にどのように貢献したか(第6章)、などなど、いずれも日本を相対化し、世界との関係性の文脈に位置づける、明快で説得的な作業だ。空間的にも時代的にも、さらには扱う題材的にも、きわめて広い視野から日本を相対化しているので、狭量な国粋主義者からすれば不愉快なのかもしれないが、著者の知的水準の高さは疑う余地がない。このような試みが、他の時代の日本史にとっても必要なのだと思う。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
最近のカスタマーレビュー |
|
|
|