金融工学は何をしてきたのか、というタイトル通りの本です。金融(ごとき)に崇高なる「工学」を称させることは不適切・・・という冷たい視線を浴びながら、金融工学と格闘してきた著者の金融工学論は、静かに熱く、一気に読める本です。いくつかよくわからないところもありましたが、それを差し引いても「読ませる本」だと思います。金融工学の限界や、金融工学を使っている(と称している?)人たちの怪しさは、実に興味深いです。
金融工学は、世間のトレンドによって大きくその必要性が喧伝されたり、蔑視されたりと紆余曲折です。その一方で、金融工学によってさまざまな金融商品があらわれ、利便性も危険性も倍増したことは事実です。リスクヘッジのためのサイエンスという科学的な側面と、強欲へと人をいざなう魔力的な側面をあわせもつ金融工学の魅力を感じる本です。