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「野宿者襲撃」論
 
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「野宿者襲撃」論 [単行本]

生田 武志
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

息をのむ衝撃。少年による野宿者への集団暴行から、鮮烈に捉える若者のいま。

内容(「BOOK」データベースより)

少年による野宿者への集団暴行から鮮烈に捉える若者のいま。息をのむ衝撃。フリーターの一部は野宿生活化するのか?野宿者と少年少女、二つの「ホーム」レス。

登録情報

  • 単行本: 252ページ
  • 出版社: 人文書院 (2005/12)
  • ISBN-10: 4409240730
  • ISBN-13: 978-4409240731
  • 発売日: 2005/12
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
思春期前後の若者たちによる野宿者の襲撃を主題に、ときには殺人へと至るこうした凄惨な事件が、決して特殊な集団による特殊な事件なのではなく、今日の「普通の社会」における弱者による弱者への暴力として位置づけ、そのメカニズムを粘り強く解きほぐした好著。

著者は野宿者ネットワークや釜ヶ崎・反失業ネットワークで活動する実践家であり、哲学研究の分野で知られる評論家でもある。

前篇では野宿者襲撃をめぐる社会的コンテクストと襲撃する側の心的機制の解明を重点的に扱い、後篇では著者自身が大阪市内の中学、高校生を対象に行なっている「野宿者問題の授業」のアンケートや対話を通じて若者たちの心理の側からのアプローチを試みている(なお、巻末には付録として「野宿者問題の授業」が収録されており、「野宿者問題」について不案内な読者はこちらを先に読むことが勧められている)。

著者自身の体験も織り交ぜながら具体的な事例を挙げる語り口には説得力があり、また、学校での「いじめ」問題と同じく野宿者襲撃もまた、同質的社会における排除の構造であることが解き明かされることで、「野宿者問題」への理解の糸口として非常に有益な一冊だろう。

だが、著者自身も本書中で指摘しているように、日雇い労働者中心だったかつての「野宿者」が社会変容の中で低年齢化、多様化(女性野宿者の増加や家族まるごとの野宿生活化等)が進み、それに伴い「襲撃」の質も近い将来に変化されることが予想されるなど、野宿者をめぐる現状は決して明るい見通しを持つものではない。

そのため、本書は「野宿者問題」をめぐる現状報告とその分析という範疇を出るものではないのだが、一足飛びにこうした問題を解決する手段がない以上、それは仕方のないことだろう。そうした苦い現実を踏まえつつなおこの現実と対峙する方途を探るためにこそ、本書は読まれるべきだ。
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By モワノンプリュ VINE™ メンバー
形式:単行本
 ともに現代世界における弱者である野宿者と若者たちとの「最悪の出会い」(p158)として襲撃を位置づけ、これを「連帯と闘争」(p176)に転化する希望を語る。論の柱はウォーラーステインの68年革命説とキルケゴール的「隣接」概念。

 68年革命による近代国家の機能低下は世界に解放をもたらした反面、公共空間の衰弱が社会内に国家の保護が及ばぬ領域を拡大させ、ある種ホッブス的状況が現出する(p108)。日本においては73年の石油危機以降、それまでの日雇労働者が野宿者として姿を現す。襲撃もこの頃に始まるという(p123、p175)。この潮流は68年革命の帰結でもあるポスト冷戦下、ネグリ・ハートの言う「帝国」的二極化構造(第三世界の中の第一世界、第一世界の中の第三世界)としてさらに鮮明となる(p27)。

 公共性の衰弱は若年層をも直撃する。ここで著者は補助線を引く。宮台真司の言う「意味から強度へ」の転換など虚妄であり、自己決定・コミュニケーション等の処方箋は欺瞞的隠蔽でしかない。宮台天皇論も同工異曲(p74)。現実には家族・学校・会社に代わる選択肢などなく、大多数は「適応か転落か」の圧力に晒されている(p131)。

 著者はキルケゴールの隣接概念に希望を託す。つまり「私の隣人は誰か」という共同体的な問いを転倒し、「その人の隣人は誰か?(・・・私)」という形式で普遍性の空間をひらく隣人愛(p163)。具体的には、釜ヶ崎暴動(1990)における野宿者と若者たちの共闘を著者は天安門やロス暴動と同列に置き、「新たな種類のプロレタリアートの連帯と闘争」のリストに加える。

 著者は言う。襲撃者が10代だとしても、野宿者問題に「隣人」として手を差し伸べてくる者の多くもまた10代だ、と(p185)。著者のこの「希望」は私には重く、しかし苦い。
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