経済指標を振り回す人たちの言うことを聞いていると、まるで社会制度を整えて金をつぎ込めば、どんな国でも豊になれるかのごとき錯覚に陥ってしまうが、そうならないことは素人目にも明らかである。そこに生きる人たちひとりひとりの相互信頼関係や労働観、著者言うところの道徳力がまず基本となって、経済発展が可能になると言う本書の主旨には100%同意する。
しかし、韓国や中国はともかく、米国の道徳が低下して没落の兆候が見えるとしているのはどうだろうか? 米国衰退論と言うのは過去にも何度か出てきたが、失敗への対処は日本に比べて迅速かつ的確で、その度ごとにより存在感が増している感じがする。
日本の道徳力が低下している兆候が無きにしもあらずなので、日本の道徳力がいかに優れているかよりも、道徳力がいかに大切かを再認識するために本書を読むべきであろう。