本書はダーウインが唱えた進化論の説明に始まり、進化論をめぐる議論やダーウインの人となりに付いて明快に解説しています。
進化論に関する比較的固い説明は全体の4分の1くらいです。
残りの4分の3のスペースでは、古生物や現代に生きる奇妙な生態を持つ生物について、進化の視点から横断的に語るという構成になっています。
『進化』とは高次元の生物に至る『進歩』であると理解しがちですが、そんなありふれた誤解についても丁寧に説明を加えています。
本書を読めば進化論のダイナミックな面白さと、進化論を論証する難しさの両面を理解できるでしょう。
そして現代に生きる生物も『進化』の真っ只中にあることを感じるはずです。
人類の進化についても本書の最後でページが割かれています。
ただこの章については、断片的に記述よりも、もう少しストーリー性のある解説のほうがよかったのではないかという気がしました。
それであれば、進化の奥深さや進化の不思議さを強く実感できたのではないかと思います。
(人類進化の明確な答えは出ていませんので、断片的にならざるを得ないのはわかるのですが。)
この価格でこれだけ充実した内容を提供する本書には、素直な驚きを感じます。
少々大げさな言い方にはなりますが、日本の活字文化の底力を見た思いです。
生物の進化や生物の奇妙な生態、古生物に興味のある人ならきっと楽しめることでしょう。
知的好奇心を満たせる1冊です。