もう使い古された冠かも知れません。「ミスター円」として現場て活躍した榊原英資氏の
真髄の通貨・為替の、欧州ソブリン危機渦中での小冊子の緊急出版です。
榊原氏は「元優秀官僚」の数少ない人物として評価する人はしています。経済学的には新ケインズ学派、政治的には民主党支持派と思うのですが、論理の軸が一貫してぶれていません。
慶大、早大、そして現在は青学で教鞭をとり、支持する民主党を堂々批判してやみません。
榊原氏の経済学研究は幅広いのてすが、一般的マクロ理論は水野和夫氏(現・内閣審議官)に
大きく影響されており、今までの論旨の肝は「金融政策の限界を説き、脱・経済成長の豊かな国家づくり」を主張していることです。
榊原氏は大学教授として学生の人気が高いらしい。
ただ著書を乱発する傾向があるので
経済学的には今一の本もあるわけですが、本書は専門の通貨の真髄に触れた秀作です。
小生は早くから思っている「円高トレンド」について、ドル円で近く60円台に入るだろう、ということを経験則に照らして主張しています。
アメリカのサブプライム金融危機→欧州ソブリン危機の流れも根幹に触れて説明しています。
そして世界経済は「世界同時恐慌に入る」と言うのです。
小生も正しいと思います。
ただ「恐慌」の意味合いが一般に理解されているのとは少し違います。
「恐慌は一般的に経済低迷の急変動で大混乱が起きること」と経済学的に
理解できます。
現在、世界の中央銀行の協調効果で急変動は起きていないと思います。
混乱の最たるものは大戦争になりますが、先進国世界はもう大戦争は起きる時代ではないと思うのです。
本タイトルの「同時恐慌」は「タイトルとして他の言葉が見つからない」が、内容としては大いなる希望が残るわけです。
本書をインチキな「破綻本」と混同してはなりません。