人類の体の構造の中に、進化(使わない器官で現れると退化となる)の痕跡を解説した書である。以前読んだ類書の『人体 失敗の進化史』と比べて、系統的でドライに書いてあるので、私にとっては好感が持てた。ただ、細かい骨や筋肉の話が出て来てイラストを見てもすぐには分からないものも多かった。私の読み方として、さらっと読んで分からない所はそのままスルーするので、ストレスにはならなかったけど、きちんと理解しないと気になる人には結構骨かもしれない。これは、本書の解説がまずいと言うわけではなく、本質的に煩雑なものなのだろう。ビデオ等で絵を見ながら解説を聞く形式の方が分かりやすそうだ。
人体の構造がなぜこのようになっているのかに、脊椎動物の歴史、もっと言えば、生物全体の歴史が現れているのは本当に面白い。今回一番面白かったのは、腕と脛の違いだった。腕は肘を固定したまま手首をまわすことが出来るのに対して、足首を廻すには膝もろとも股関節動かさないと廻せない。爬虫類では両方同じ機能があったのに、足の使い方が変化して必要がなくなって退化したものだ。その証拠には、膝も腕と2本の骨があるのに、脛の方は一本は取ってしまっても構わなくなっていて、実際に骨の移植に用いられている。
読みながら、自分の体のあちらこちらを動かしたり押さえたりして確かめているのは、何となく変な光景だが、そうしたくなる面白さのある本だった。