実話怪談『「超」怖い話』が世に現れて本書刊行の時点で実に15年。この世のあらゆる処で日々現れる怪異。その中で僅かに記録として遺され、語り継がれる幸せを、本書でもまた噛み締めたい。
「正座」…ここまでストレートに接触され祟られずに済んでいるのは幸運なのか。はたまた喋らずにいる事が幸いしたのか。
「霧」…樹海に泊まろうなんて絶対に思いたくならない話。
「鼠撒き」…陰惨過ぎて気分が悪くなる…。
「H塔」…物理的攻撃を伴った珍しい例。そもそも戦跡で不謹慎な事をする方が悪い。
「ひきぬきにくいくび」…マネキンに死霊が乗り憑る話はよく聞くが、現場作業員にその対処法まで広く認識されているのが怖い。
「鞄」…死霊に遭遇する現場のゾクゾクする臨場感が迫真。
「どんでん」…例え僧籍にあろうとも、生半可な事をしては大怪我をする、という実例の様な話。後日、事も無げに「摘んで捨てて」くれた高僧の徳が面白い。
「刑場前の歩道橋」…鈴ヶ森か。立地も最悪な場所で切腹の追体験。無念は今も尚渦巻く。
など。他にも此処には特記しなくてもクオリティの高い話が多い。個人的に最恐なのは巻頭の「安置所ホテル」。結局その死霊が遭難死した女なのかはわからないが、この世に怨み深く、無関係な女性を魘い、精神を荒廃させた。救いのない話である。