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「負けるが勝ち」の生き残り戦略―なぜ自分のことばかり考えるやつは滅びるか (ベスト新書)
 
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「負けるが勝ち」の生き残り戦略―なぜ自分のことばかり考えるやつは滅びるか (ベスト新書) [新書]

泰中 啓一
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

強い者が勝ち、弱い者は滅びる......生物の世界は、そういう
「優勝劣敗」「弱肉強食」の世界だと思われている。しかし、事実は違う。長い
進化の果てに生き残った、現存する生物は、長期的に見て、互いに助け合ってい
る。互いに依存しあっている。そのようなものとして、長い自然選択の試練を経
て、生き残ることができたのである。

殺虫剤でゴキブリやハエを殺すと、当座は数が少なくなる。しかし、しばらく経
つと、以前よりぐっと増えることが知られている。複雑な自然界の現象は、決し
て、強い者が生き残り、弱い者が滅びる世界ではない。「利他主義」こそが最適
の戦略であり、弱い者ほど生き残る。このパラドックス(逆説)は、選挙をはじ
め、人間社会にも数々の実例が見られる。

本書では、生物界と人間社会から、これら逆説の例を多数取りあげながら、自分
のことばかり考えるジコチューは滅び、「黄金律」戦略と呼ばれる利他主義を
とった者が、結局は最後まで生き残ることを、ゲームの理論を駆使しながら
説得力をもって証明する、本邦初の本である。

内容(「MARC」データベースより)

複雑な自然界の現象は、決して、強い者が生き残り、弱い者が滅びる世界ではない。「利他主義」こそが最適の戦略であり、弱い者ほど生き残る。このパラドックス(逆説)を考えるためのモデルを提案し、生き残りの戦略を探る。

著者からのコメント

 目先の(短期的)利益は、必ずしも長期的利益とは一致しない
ものです。ときには短期と長期的結果が、まったく逆になることもあります。本
書はこのような逆転の事例(話題)をたくさん集めたものです。各々の話題は独
立しているので、興味のある話題だけを読んでいただいても結構です。

   はじめの話題は「選挙とマスコミ」の関係です。当初の計画では、こ
の話題を本のタイトルにしようと思っていました。マスコミ報道は、選挙に大き
な影響を及ぼします。マスコミ報道は、短期的には有権者に決定的影響を及ぼし
ます。したがって例えば選挙の直前一ヶ月間の報道がストレートに選挙結果に
反映します。このことを総選挙のデータで立証しました。各政党がマスコミに注
目された度合いと、各政党の当選者がおおむね比例するのです。言い方を換える
と、選挙の直前うまくマスコミを利用できれば、総選挙の結果を思い通りに支配
できるということです。悪く言えば、有権者は選挙前の一時的な報道の影響を強
く受けて投票しているということです。2005年の総選挙では、「郵政民営化」の
問題だけで投票した人が多かったのは記憶に新しいことです。
 しかし、長期的には、マスコミ報道の影響は複雑です。場合によって、長期
的には、短期的影響とは逆の結果を引き起こします。その具体例が「スキャンダ
ル報道」です。私は昔から、田中角栄氏、佐藤孝行氏、...、鈴木宗雄氏ら多く
のスキャンダル候補者は、なぜ勝ち残るのか疑問を持っていました。私は、ス
キャンダル報道の影響を調べるために、コンピュータ・シミュレーションを行い
ました。スキャンダルが報道されるやいなや、その政治家は大きなダメージを受
けます。しかし、それは短期的な影響であり、長期的には逆になることが多いの
です。ずっとスキャンダル報道が続いていても、しだいにその候補者が有利に
なってくるのです。これがシミュレーションの長期的結果です。日本ではその
上、選挙の直前にはスキャンダル候補者が批判されないので、スキャンダル
候補者はますます有利になります。このようにして彼らは勝ち残るのです。

   生物の話題も短期と長期的結果が、まったく逆転するシミュレーション事
例です。ゴキブリ駆除の場合、駆除装置の設置とともにゴキブリが減り始めま
す。しかし、長期的には、駆除装置が設置され続けているにもかかわらず、前に
も増してゴキブリが増加することもあるのです。「アドレア海のパラドックス」
もそのような事例です。これは第一次大戦後、アドレア海で漁業が開始されまし
たが、漁業によって魚を殺しても、増加してくる魚もあるという話です。

   最近のゲーム理論は、人間のモラルの研究にも役立っています。ゲーム理
論において、最も重要なのは「囚人のジレンマゲーム」です。私は、このゲーム
によって、「情けは人のためならず」ということわざを立証しました。「他人に
親切にしておけば、その人のためになるばかりではなく、やがてはよい報いが自
分に戻ってくる」ことをシミュレーションで示したのです。「目には目を」とい
う報復主義は、長期的に見るとあまり得にはならないのです。「やられたらやり
返す」ということが続くのです。報復主義は、報復と暴力の連鎖によって、逆
に自分の利得を減らしてしまいます。

   最後の話題は「生物の絶滅」と「オーストラリア先住民(アボリジニ)」
の話です。アボリジニは、古くから陰陽説の概念を持っています。これは近親婚
を回避する結婚システムとなっています。5万年の歴史を持つアボリジニの輝か
しい成果です。生物も環境条件が良いときに近親婚回避システムを発達させまし
た。しかし、近年になってアボリジニも生物も環境条件が悪化してきました。ア
ボリジニは、結婚システムを緩めることでなんとかなっています。しかし、生物
はシステムを急には変更できないので絶滅するのです。

著者について

泰中啓一 Kei-ichi Tainaka

静岡大学 創造科学技術大学院

(静岡大学 工学部システム工学科 兼担)

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

泰中 啓一
1949年愛知県生まれ。名古屋大学理学部物理学科卒業。1980年、茨城大学理学部助手。同大学助教授を経て、1996年から約1年間、米マサチューセッツ工科大学客員教授を務める。1998年から、静岡大学工学部システム工学科教授。理学博士。2006年から、同大学創造科学技術大学院教授を兼任担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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