大江さんにとって書く事は、我々が食事、睡眠、排泄のように日常の営みの一つであるのだろう。
一流の作家である事は言うまではないが、書くという事に対するハードルの高さ、一度書き上げたものの三度に渡る推敲、より良いものを吸収しようとする質の高い読書、(まるで人が体にいいものを食べるように)そして言葉選びにはただ頭が下がる。そして頭に吹き上がってきたエネルギーが紙にアウトプットされていき、それがどんどん美しく完成されていくまでのプロセスには驚かされる。
ご子息が音楽によって、心に溜まっていた全ての感情を吐露したように、大江氏は書くことにより、頭や心に浮かぶもの全てをはき出し、そこから彼の考えはまとまっていき、頭の中が整理できるのであろう。
私のような一般民ではこのように頭に考えが溢れ苦しむことなどないのであるが、頭にある考え(例え噴出していなくても)書いていったら、脳の整理になるのでは、と考える。
そして、こうすることにより理路整然とした話し方も身につくのではないかと思うので実践してみたい。
又この本で紹介されていた、大江氏が敬愛する書き手である中野重治、や佐多稲子の本も是非読んでみたい。