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『秘訣1 主語を "I" 以外のものにする』 『秘訣2 「思う=I think」はなるべく使わない』はとてもためになりました。私自身が I を主語にした文章、 I think で始まる文章を多用していたのですが、これは本書で繰り返し述べられている『英語モード』に切り換わっていない証拠で、大井先生の説明を読んで、初めて自分が日本語モードで英語を書いていたということがわかりました。モードの切り替えのない人は、ちょうどラグビーボールで野球をしているようなあべこべの滑稽さを呈しているということも自覚できました。鏡なしでは自分の容姿がわかりませんが、私もこの本なしでは自己の英語・日本語感覚を再認識できなかったことでしょう。その意味で本書は言語モードを再認識させてくれる良書です。(昔から英語は得意で英文にも自信があったのですが、己一人賢いと思っていたのは愚かなことでした)
また他の特筆すべき内容は、起承転結に代表されるような結論を最後まで明かさない日本人の「巻き込み」あるいは「渦巻き」型思考は、遠回り過ぎて英語感覚には合わないということでした。文法的に正しい短英作文ばかり重要視している日本の学校では、教えられていない英語学習のティップが本書にありました。
身につけて嬉しいものには苦労がつきものですが、英語の知識を得るための勉強も同様だと思ってきました。しかしながら、著者大井先生のなめらかな文体はとても読み易かったので、坂道を自転車で降りるかのように簡単に読み進められました。今までに経験したことのないような苦中有楽・苦即楽というような自助学習を体験させて頂きありがとうございました。(定期的に紹介されている芭蕉の句の翻訳問題・ネイティブの語彙量・アメリカの大学の話・ジョークも楽しかったです)
タイトルは「ライティング」となっていますが、書く場合だけではなく、授業や会議で意見を発表する際や、プレゼンテーションやスピーチを行う際も、この本で紹介されている段落の組み立て手法は参考になります。また、英文を読んだり聞いたりする際も、この本で論旨の展開方法の知識を得ると、どこが話のポイントなのか把握しやすくなります。ライティングのみに留まらず、話・読・聴の分野でも役に立つタイトルだと思います。
とはいえ、内容はあくまでも入門書です。学術論文を書く方は正式な論文作成の方法を、企業で企画書や報告書を書く必要のある方はもっと戦略的な書き方を勉強する必要があると思います。ただ、そういった場合でも、この本をまず読んでおくと、後の理解も早いと思います。
一つ残念だったのは、「日本語モード」であるべき英文和訳の文が「英語モード」だったことです。「代名詞は日本語ではあまりなじみません」という記述があるにも関わらず、和訳の文では代名詞がきっちり訳出されていて、日本語としては不自然な文章でした。
余談ですが、この本を読んで、英会話学校のネイティブ講師が、大人の生徒を時々子供のように扱う訳が分かりました。これまで世間で言われる「英語が出来る人」(国立外語大学英語科卒、旧帝大英文科卒、資格試験上位級保持者)とも勉強する機会が多数ありましたが、その人たちでさえ、話の展開方法が、この本に紹介されているネイティブの小学校高学年レベルなのです。他の方も仰っているように、中・高校生の段階で、「英語モード」の学習が必要ではないかと感じました。
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