美しい芸術ではなく、「気付かせる」芸術がどうやって社会と関わろうかを考えるアール・ソシオロジック(芸術・社会学)についての本である。「気付かせる」芸術とは、それまでとは違う考え方やものの見方を与えてくれる、まるで見る者の肩をつかんで揺さぶるような芸術だ。しかし芸術にそもそもそんなことを期待しない人が圧倒的である中、「気付かせる」芸術を好む人は孤独な戦いを強いられる。意識の目覚めが惹起するのは、広告においては購買意欲であり、禅においては悟りである。筆者は、アール・ソシオロジックをその中間に置く。アール・ソシオロジックにおいて、意識の目覚めが気付かせるのは、「自分」であり「社会」であり、そうして「生き方」である。「自分」を問うことが生きる力につながることが明らかになりつつある今、人々が「気付かせる」芸術に触れる機会を広げたい。そういう筆者の熱意に深く共感した。