7、8歳のころ、太平洋戦争の間に祖母からこの話を聞いた著者は、年老いた自分にこう問いかけたいと思った。
「――どうして生きてきたのですか?」
著者はこの質問に答えるためにずっと小説を書いてきたという。しかし、それから60年近くがたち、「年をとってしまった自分」になってみると、若い人たちに向けて「自分の木」の下で直接話をするように書きたいという気持ちが強くなった。自分の言葉が彼らの胸のうちで新しい命として生き続けられるように――。
本書は著者が初めて書いた子ども向けの本である。自伝的要素が強く、不登校、生きる理由と方法、自殺、言葉、戦争、反戦運動、勉強の方法などをテーマに、悩める子どもたちへの真摯(しんし)なメッセージが著者自身の体験と共につづられる。小学校で経験した敗戦、四国の山間で父や母、祖母から伝え聞いた話、勉強に勤しんだ学生時代の思い出の数々、障害を持って生まれた長男の誕生と成長…。大江ゆかりの挿画は玉に傷だが、多くの困難を乗り越えて偉業を達成した著者の言葉は、暗闇に迷い込んだ子どもたちやその親に、希望という一筋の光明を与えるに違いない。(齋藤聡海)
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22 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
自立ということ,
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レビュー対象商品: 「自分の木」の下で (単行本)
この本は、私たちに欠けている自立ということを問いかけています。今日あらゆる場面で日本に必要なことは自立です。大江さんは(村上龍さんも含めて)自立ということを、後世を担う若者たちに捧げたくて、この本を書いたのだと思います。私は医療と医療情報の提供という業務に携わっておりますが、個人にとって医療情報が切実に必要になったとき、自立ということ、限りある人生を作り上げるということ(大江さんはelaborateといっています)、人とのつながりというものが大切だということを、痛切に感じます。この本には生きることのエッセンスがぎっしり詰まっています。どうかこの本をお読みになって、限りある命を十分に活かして生きていただきたいと思います。
21 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
森と木と時間,
By massetti (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「自分の木」の下で (単行本)
この本は子供のための本ではありません。たましいを失いかけている全ての大人のためのメッセージです。同時に子供のこころを理解するための書物です。子供のころを思い出してください。木や森に囲まれているときの自分を想像してみてください。同時にたましいのゆらぎと揺さぶられるこころを感じてください。みんなとっくに忘れかけてしまった自分を発見するでしょう。その時の時間はどうなっているでしょうか?悠久の時間を堪能してください。 子供の姿は、あなた自身のデフォルメされた姿です。森と木と時間を忘れてしまった現代人への警告です。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「自分の木」の下で,
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レビュー対象商品: 「自分の木」の下で (単行本)
大江健三郎さんの本を読んだのはこれは初めてだったのですが、とても読みやすい本でした。最初から心に響いてくる文章で、大江さんのやさしさが伝わってくるような感じでした。「なぜ学校に行くのか」とか、なぜ「生きるのか」とか、日頃から心の中でなんとなく疑問に思っていることにも答えが得られて良かったです。とにかく、読んで本当に良かったと思える本です。心が渇いている人に特におすすめです。
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