1997年に発行された当時に読みました。私自身の家族、また周囲に目の当たりにする悲惨な家族関係に疑問を抱き続けてきた私にとって、
目が覚めるようなすばらしい本でした。
著者は各種依存症や児童虐待、DVなどの治療・援助に長年携わり、その原因が機能不全な家族関係にあることにたどり着きました。
その弊害を理論化し世間に認知させた第一人者なのです。
当時の世間は患者に対する差別や偏見が当たり前で、自己責任が問われるばかりで、その原因を考えることがなかったのです。
小児科の医師ですら虐待されている子供の傷を見ていながら、「日本に児童虐待などあるはずがない」という思い込みにとらわれて、
事実に気がつかなかったそうです。
著者の考え方が広まるにつれて、テレビや新聞でもそういった問題がとりあげられるようになり、理解が深まるようになりました。
そして著者が提唱したアダルトチルドレン・機能不全家族などの用語を借用して、似たような心理学本が多数出版されるように
なりました。でも、著者ほどわかりやすく心に響く文章が書ける医師はいないのです。
著者は患者たちのことを裁くのでなく、彼らは世の中の矛盾を一身に体現しているカナリヤなのだ(炭坑のカナリヤを意味する)と
述べています。上から目線ではないこのような言葉に多くの人が救われるのではないでしょうか。
ぜひ、1995年に出版された「魂の家族を求めて」も読んでみてください。この本にはアルコール依存症者のためのセルフヘルプグループ
であるAAの歴史について書かれています。依存症ではない人にとっても、
極限まで苦しみながら問題に真摯に向き合ってきた人々の姿を知ることで視野が広がると思います。
そしてその文章のなめらかさ、美しさ、、、 私はとても感銘を受けました。