県知事が「ダム建設中止」を決断した、全国でも珍しい川辺川ダムについて、ダム計画発表から40数年にわたって取材報道を続けてきた熊本日日新聞社の力作である。
1966年、子守唄の里として知られる五木村が湖の底に沈む「川辺川ダム」建設計画が発表された。群馬県の八ツ場ダムと同様に、長い間反対運動を続けてきた地元が疲れきって、補償についての条件闘争に入った頃に、潤うはずだった流域の漁民や農民、住民たちが反対訴訟を起こすという悲劇である。はっきり違うのは、潮谷義子知事の提唱した「住民討論集会」である。300人の市民が発言した集会が、2年間で9回も開かれたという。翻弄された五木村の住民は気の毒で言葉もないが、議論を尽くしていくという姿勢は大切だと思う。