プレゼン本が大はやりである。
しかし、そもそも何が重要で何を訴えたいかがわかっていなければ、表現方法も的外れなものになるし、結果何も伝わらないということになる。
小論文に限らず、課題が与えられて、思考を「掘り進め」ようともせず、どこかから答えを持ってきたり、確信犯的に論点をずらしてもっともらしいことを書いておこうとする者がどれほどいることか。
この本では、「考えが深まってくれば、おのずと表現はわかりやすくシンプルになってくる。」「考えの筋道そのものの強靭さ」等の記述でもわかるように、上っ面の指導のみでなく、日頃の思考鍛錬が重要であることを説いている。
書いてあることは至極当然であるが、類書と比較すると「読み手に『誰でも』こう考えずにおれない」という論理があり、表現の一つ一つが練られている。紋切り型の「さあ考えよう!」というだけでなく(そんなことは皆わかっている。)、いかに思考を鍛錬すべきかについて触れるなど、一段深い記述である。
ただ、「小論文」論は格調高くなるほどと思わせるが、実際に小論文を書くことについてはいささか具体論を欠いている感もあるのが難点か。
とはいえ、小論文対策の高校生のみでなく、考えて書くことの必要な大学生、社会人にとっても有意義な本であると思われる。