本書はタイトルの通り、芸術家の著者が美しさの本質をレクチャーする、ありそうで無かった美術の入門書。様々な美しさの形をわかりやすく説明しており、世界は美のタネで溢れていることに気づかされます。他にも美術の道に入る方法、芸術と芸能との違いといったところまで突っ込んでいて、興味が尽きません。
私のように芸術とは無縁の世界に住んでいると、美術作品が目の前に出たところで、どう見れば良いのか戸惑います。しかし、著者はシンプルに「頭を真っ白にする」「作品から不思議を見つける」のが良いと言います。そして、作者の経歴や、作品の見方を頭に入れすぎるのは、「芸術作品をまず頭から考えてしまい、感動から遠ざかる」ので良くないのだとか。
そして、章の合間にある、「学生とのQ&A」が意外と見逃せません。
「やっぱり美しさってわからないよ!」という中学生からの質問には、「僕にもわかりません」という驚きの回答が。
こんな本を書いておいて!と突っ込みたくなりますが、逆に、美しさというものを完璧に理解していなくても、芸術家としてやっていける。そういうふうに捉えると、芸術って意外と敷居が広いのかな、と私は思いました。そして、「美しさをわかりたい気持ちがあれば、何かのきっかけでわかるようになる」「好きになれば、美がやって来る」という名言もちらほら。
美しさというものが、よくわからなくても、気軽に美に触れればいい。必要以上にかしこまらなくても、評論家の意見を耳にして卑屈になる必要もない。そう言われているようで何だかほっとします。