自らも糖尿病にかかったものの糖質制限食を始めて病状が大きく改善した経験を持つ著者が、自らの体験を踏まえて、糖質制限食の効果とそのしくみを解説している。
江部康二の著者を多数引用しているため、それを読んでいる人にはあまり新鮮味がある話はないかもしれない。しかし、医者でない人、それも実際に罹患した人が書いているだけあって、初心者の入門書としてはわかりやすいかもしれない。
ただ、医者・製薬企業・栄養士が頑なに糖質制限食の効果を無視し続けているこの「闇」の背景に充分に切り込めているかは、疑問。まず、事実認識の根拠が希薄。例えば、糖尿病になった医者が患者には勧めていない糖質制限食を自身では実践していることが多いとしているが(これが事実としたら大変なことだと思うが)、どうしてそういうことが言えるのか根拠が明示されていない。引用されている統計、論文も注釈等で出所を明らかにして原典を確認できるようにする必要があるだろう。さらに、医者がこの治療法を無視する理由については憶測による記述も多く、江部氏への取材だけではなく、その反対側に位置する人たちにも取材をして書かれているというようにはなっていない。
おそらく「闇」は存在するだろうし、非常に重要なテーマである。このまま日本と諸外国の糖尿病治療の乖離が拡大し続ければ、この治療法を無視し続けたことにより多くの日本人を死に追いやったが学会・医者の「未必の故意」が厳しく糾弾されることになると思う。ただ、それには、冷静で客観的な事実と取材に基づいた告発が必要だと思う。この病と「運命的な出会い」をした著者の奮闘に期待します。