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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
社会とはなにか?,
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レビュー対象商品: 「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
本書は、「社会」なる概念の由来、その歴史的形成を、トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの思想を検討することによって明らかにしようとするものである。その問題関心は、現代社会とは何か、現代社会で生きるということはどういうことか、という根源的な問いを考える契機を与えることにある。この3人が選ばれたのは、まず、社会なるものを1つのまとまりとして明確に対象化した最初の体系だった試みが、デュルケームがフランスで創設した実証主義的社会学だからである。そして、デュルケームに先立ちその社会学を準備したのがトクヴィルであり、デュルケームの後にその社会学を批判的に継承したのがベルクソンだからである。第1章「トクヴィル:懐疑」では、トクヴィルの社会理論と彼の歴史的経験を検討する。そして、トクヴィルは、超越なものによらない「人間(性)」へと到達し、それにより「社会それ自体」を考察の対象とする「社会科学」の誕生を可能にしたという。 第2章「デュルケーム:格闘」では、デュルケームの社会理論と歴史的経験を検討する。そして、デュルケームは、超越性を排した実証科学として社会学を創設した一方で、可感的なものではない内的なトーテム原理を無理やり外的に観察可能なものとした限界があったという。 第3章「ベルクソン:開展」では、ベルクソンの思想を内的現実から外的現実への精神の漸進的な運動として捉え、この観点から彼の議論を検討する。そして、ベルクソンは、内的外的に可感的な経験に基づく実証的科学的な手続きによって「生」と「愛」というある種の超越性に到達したという。 終章「誕生した社会:絡繰」では、これまでの議論をまとめつつ、生み出された現代社会の基本構造を考察する。 以下、簡単な批評。 1) 思想史的方法について。本書は三人の思想家の社会概念を思想史的に論じているが、三者を比較史的にのみ扱っている。すなわち、デュルケームはトクヴィルをどのように評価したのか。また、ベルクソンは前者をどのように評価したのか。これらの問題については考察しておらず、関係史的観点は看過されている。また、比較史的に論じるにしても、通常とは異なりデュルケームの前後にトクヴィル、ベルクソンを位置づけた理由が説明されていない。おそらく、民主主義社会の問題系においてトクヴィルとベルクソンとが、アソシアシオン論の問題系においてトクヴィルとデュルケームとが、社会統合理念の問題系においてデュルケームとベルクソンとが結びつくのであろうが、それぞれの問題系は重なりつつも微妙にずれており、枠組みの説明が必要である。 2) 歴史叙述について。第二帝制に関しては、サン=シモニアンやル・プレ学派などには全く触れず、第三共和制の基盤整備として選挙制度の拡大とインフラの整備にのみ言及している。第三共和制に関しては、世俗対宗教にもっぱら焦点が当てられ、社会主義、共産主義、ファシズムなどには全く触れていない。結果として、フランス史を共和制にむかって進む目的論的な理解で捉えているような感を与えている。 3) 以上のような問題があるものの、本書は読みやすく、主張がはっきりしている。自分にとってはあまり馴染みのないベルクソンについて知れてよかった。終章において、ベルクソンの議論を現代社会に結び付けるところは強引ではあるが、これからの著者の議論の展開が期待できる一冊になっている。
18 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
良書。,
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レビュー対象商品: 「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
良書。新書であれハードカバーであれ、最近、めっきりおもしろい本と出会っていなかったが、この本は久しぶりに“当たり”だと思った。トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの足跡を軸に、著者の説明を加えながら、「社会」の誕生過程をうまく説明している。 最初にトクヴィルをもってきているのは、著者のオリジナリティとして特に優れた部分だと思う。 また、これだけの大きな内容を扱っている状況で、終章において著者としての一定の結論を描ききった(収拾をつけた)ことに対しては、心底敬意を表すべきだろうし、結論そのものにも好感が持てる。 少し調べたが、著者の菊谷和宏教授といえば、今の社会学の研究者の中で最も注目すべき人物の一人のようだ。 基本的には、大学生向けの入門書という位置付けになろうかと思うが、入門書という雰囲気から、勿論、(私のような)一般人にも読み易くできている。 昔は、大学生や知識人と言われるような人の本棚には、(専門外でも)必ずこういった本が並んでいたが、この頃はどうなのだろうか。 物事と誠実に向き合おうとする人に是非ともお薦めしたい一冊。
6 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「愛(amour)」の社会学,
By 蜜柑 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史 (講談社選書メチエ) (単行本(ソフトカバー))
本書は、「あとがき」によれば、著者が『思想』の第1010号および第1011号に発表した論考「共に生きるという自由について(上・下)――生の社会学への展望: トクヴィル、 デュルケーム、ベルクソン」(岩波書店、2008年)に大幅に加筆修正を加え、専門家に 限られない、幅広く多様な読者を想定して一冊の本にまとめたものである。構成は、以 下のようになっている。 序 分解する現代社会――「社会」という表象 第1章 トクヴィル: 懐疑 第2章 デュルケーム: 格闘 第3章 ベルクソン: 展開 終章 誕生した社会: 絡繰――相互創造の網と人間的超越性 あとがき 誤解を恐れずに言えば、著者の目指すところは、「『愛(amour)』の社会学」とでもい えるであろうか。本書は、完成されたものというよりも、試みである。そうであるから こそ、自然と、読み手も、著者の提起する問いを一緒に考えることになる。もちろん、 著者の論理展開に納得のいかない読み手もいるであろう。だが、本書の著者は、そう いった読み手も含めて、共に問題を考えようというのである。 著者も「専門家に限られない幅広く多様な読者を想定」していると書いているように、 文章は平明で非常に読みやすく、論理を追うのも容易であろう。個人的には、非常に 面白かったので、是非とも、多くの人に、手にとってもらいたい書物である。
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