「現代美術」は素人には難解だ。高尚なのかふざけているのかデタラメなのか、わかりにくい。これに対して現代の音楽は『「創作」より「編集」に力点を移した』ところは美術と共通しているが『録音技術や複製技術の波をかぶったことで極端に民主化した』(本書より)。音楽ではブルースや民族音楽、レゲエを取り込みロックやポップとして消化し受け容れられている。
本書では岡本太郎の「縄文」会田誠の「エロ」村上隆の「アニメ」など、過去のテキスト、しかも文化だけではなくサブカル的なものまで消化・昇華しつつ世界的にも評価されるようになった現代美術を、美術だけではなく日本文化全体の視点から読む。
本書が出版された2002年はまだ、9.11のショックがさめやらない時である。元々は99年秋、水戸芸術館の「日本ゼロ年 GROUND ZERO JAPAN」でのテキストから発している本書であるが、半ば取り上げることがタブーのようだった「戦争画」に言及したりするうち、奇しくも「グラウンドゼロ(爆心地)」が世界的なワードになってしまった。
構成は雑誌だったり美術館のカタログだったり、形式も対談が混じっていたりと形式には統一感がないが、10年経った今でも十分面白い本である。