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「無限」に魅入られた天才数学者たち
 
 

「無限」に魅入られた天才数学者たち [単行本]

アミール・D. アクゼル , Amir D. Aczel , 青木 薫
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)

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 「無限」とは、読んで字のごとく、限りがないということだ。「永遠に続く」「大きい」「果てしない」など、それぞれに抽象的なイメージを持って、違和感なく使っている言葉の1つであろう。この言葉に明確な定義をもたらしたのが、ゲオルク・カントールという数学者である。本書はカントールの生涯を中軸に、「無限」が数学の概念として認められるまでの波瀾を描いた作品である。

   無限という概念は紀元前6世紀から5世紀の間に、ギリシャで発見された。ギリシャ人が無限の概念に出あったのは、ゼノンのパラドックスを通してだったと見て間違いない、とここでは記されている。では、数学になる前の無限は何だったのであろうか。それは神である。ユダヤ神秘主義において神を表すヘブライ語「エン・ソフ」は「無限なるもの」を意味する。そして、アルファベットの最初の文字であるアレフで始まる。神を意味するヘブライ語エロヒムもまたアレフで始まる。アレフという文字は神にそなわる無限という属性なのである。

   カントールは、無限とは「部分と全体が1対1に対応すること」であると定義した。そればかりか、無限は1つではなく「無限に」たくさんあるというのだ。そもそも部分と全体が等しいとはどういうことか。この無限の集合論の帰結にカントール自身が、興奮しつつも途方に暮れていたようで、友人の数学者デデキントにフランス語で「我見るも、我信ぜず」という手紙を送っている。

   この発見は19世紀の数学界からは、猛反発をくらった。特にベルリン大学時代の師であるクロネッカーは、執拗なまでにカントールの研究成果の発表を妨害した。そして、研究への行き詰まりもあいまって、彼は心はしだいに病んでいくのである。彼の病気についてわかっていることは、抑うつ状態になる直前、彼が決まって「連続体仮説」について考えていたということだ。精神病院への入退院を繰り返し、カントールは失意のままに亡くなるが、彼の意思を受け継ぐ数学者がいた。クルト・フリードリッヒ・ゲーデルである。ゲーデルもまた、無限にかかわる20世紀最大の難問「連続体仮説」の証明に取り組み、精神をむしばまれていった。

   このように本書は、「無限」に魅入られ、そして闘った数学者たちの物語である。「数学の本質は、その自由にある」と述べたカントールをはじめ、無限を求める数学者たちの執念と苦悩が伝わってくるようだ。決して容易に読破できる内容ではないが、現代数学の発展に寄与した数学者たちの壮絶なドラマを、彼らと共に難問に挑みながら、読み進めるのもおもしろい。(冴木なお)

内容説明

From the end of the 19th century until his death, one of history's most brilliant mathematicians languished in an asylum. The Mystery of the Aleph tells the story of Georg Cantor (1845-1918), a Russian-born German who created set theory, the concept of infinite numbers, and the "continuum hypothesis," which challenged the very foundations of mathematics. His ideas brought expected denunciation from established corners - he was called a "corruptor of youth" not only for his work in mathematics, but for his larger attempts to meld spirituality and science.
--このテキストは、 ハードカバー 版に関連付けられています。

登録情報

  • 単行本: 255ページ
  • 出版社: 早川書房 (2002/02)
  • ISBN-10: 4152084022
  • ISBN-13: 978-4152084026
  • 発売日: 2002/02
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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On January 6, 1918, an emaciated and weary man died of heart failure at the Halle Nervenklinik, a university mental clinic in the German industrial city of Halle. 最初のページを読む
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15 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By itgaki トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
数学で「無限」という概念がどのように考えられ扱われてきたかを語る中で、一人の天才数学者ゲオルグ・カントールの生涯について語っている。数学の歴史の中で「無限」がどれだけ悩ましいものであったか、そしてそこに集合論という概念で挑んだカントールの功績と苦悩が判り、非常に面白く読めた。数学の基礎となる集合論にまだ未解決な問題があると言うのは意外でしたが、そうした状況の中でも厳密に議論を進めていこうとする数学者はすごいと素直に思いました。また翻訳された青木薫氏は、非常に上手く翻訳されていると思います。この方の翻訳された他書も非常に読みやすいので、優れた翻訳者なのだと思います。でも邦題はピッタリではないようですね。
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 無限について扱っている書物は数多くあるが、本書はかなりディープな掘り下げをしている。

 とにかく「無限」に特化して、無限に関する多くの話を取り上げている。

 数学を学んだ人ならば最低限無限に関する知識は持っていると思うが、本書ではあまり触れること

のない無限に関する知識を与えてくれる。

 無限といえば解析学における級数や極限で扱うイメージが強いが、無限そのものがどれだけ数学の

土台造りの重要な研究テーマであるかを認識させられるのである。

 特にカントールが精神を病んでまで取り組んだ「連続体仮説」の問題は、永遠に人類には到達できない

かもしれないとの思いを抱かされた。連続体仮説とは、簡単に言えば

    無限同士にもその大きさには階層があり、最も小さい無限は有理数全体の集合であるが

    その次の階層の無限は実数全体の集合である

との仮説である。本書の味わいを損なわないよう詳述は避けるが、とにかくこの問題は未解決である。

 この問題の本質を少しでも知りたいと思った方は、一度本書を手にとって見て欲しい。
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
非常に面白い。
数学的議論はかなり端折ってある上に怪しい部分もあるが、そもそもそういう厳密な数学的議論よりも、「無限という概念と人間との哲学的関係」と、「大数学者の人間臭さを生々しく描く」ことがメインテーマであると思われ、そのように読んだ僕としては大満足だった。

たとえばカントールをクロネカーによる「苛め」から救った(ものの一つ)のが「教会」であったことや、カントールがシェイクスピア研究に没頭した要因(この辺は著者の持論と解釈したほうがよいかもしれないが)、若かりし日のゲーデルの遊興ぶり(!)などなど、知らなかったエピソードがたくさん出てくる(すべて本当であろうという自信はないけれども)。

しかも、紀元前、ゼノンのパラドクスから始まる「無限」に対する人間の数学的、哲学的、宗教的態度や、特に解析学における無限概念の発明(発見?)、そして、現代集合論、特に連続体仮説周辺の歴史、と、無限に関するトピックが簡単にではあるがたくさん詰まっている。
楽しい読み物としてオススメしたい。

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